発表日  : 1998年11月30日(月)

タイトル : 電波防護指針への適合性確認方法の策定





         − 電波の強度の測定方法及び算出方法 −

 郵政省は、本日、電気通信技術審議会(会長:西澤 潤一 岩手県立大学学長)か
ら「電波防護指針への適合を確認するための電波の強度の測定方法及び算出方法」
(平成10年(1998年)7月27日諮問)について答申を受けました。
 答申の概要は、別紙のとおりです。

 これまで電波利用における人体の防護については、平成2年(1990年)6月
の電気通信技術審議会答申「電波利用における人体の防護指針」を踏まえて社団法
人電波産業会が策定した「電波防護標準規格」が、無線局の建設・運用に際し、ガ
イドラインとして活用されてきました。
 一方、携帯電話の普及等により電波利用施設が生活圏の近辺に設置されるように
なってきたことに伴い、電波利用における安全性への懸念が提起されるようになり
ました。このような状況を踏まえ、郵政省では、無線局の無線設備の条件として、
無線設備から発射される電波の強度が定められた値を超える場所にその無線設備の
取扱者以外の者が容易に出入りできないように施設することを規定する電波法施行
規則の一部改正を平成10年10月1日に公布し、平成11年(1999年)10
月1日から施行することとしました。

 この答申は、この電波防護のための基準への適合性をできる限り容易に、かつ、
統一された方法により確認できるよう、電波の強度の測定方法及び算出方法を提示
しています。
 郵政省では、この答申を踏まえ、電波防護の基準への適合を確認するための電波
の強度の測定方法及び算出方法を告示するとともに、広く周知を図っていくことと
しています。


                連絡先:電気通信局電波部電波環境課
                担 当:堀内課長補佐、伊藤生体電磁環境係長
                電 話:03−3504−4900



                                   別紙

                答申の概要

1 目的と範囲
 (1) 電波防護のための基準の制度化に際し、その適合性を確認するための標準的
   な方法を提示
 (2) 適用する電波防護の基準値は、一般環境の電磁界強度指針値及び補助指針値

2 確認手順の基本的な考え方
 (1) 無線設備から発射される電波の強度に対する基準への適合の確認は、算出に
   よることを基本とし、算出結果が基準値を超える場合は測定により行う。
 (2) 近傍に反射物体があり強い反射が想定される場合で、算出結果が指針値から
   6dBを減じた値を超える場合には、測定により確認する。
 (3) 適正な工学的技術に基づいたものであれば、この答申で示した個々のアンテ
   ナに関する算出方法と異なる方法を排除しない。

3 標準算出方法
                ふく
  アンテナ入力電力P[W]、最大輻射方向のアンテナの絶対利得をGとすると、
 距離R[m]の位置での電力束密度S[W/m2]は、
      PG 
4π2
 で示され、これを基本算出式とする。
  なお、算出結果が基準値を超える場合は、アンテナの種類に応じた算出式を使
 用する。

※ 個々のアンテナとして、「コリニアアレイアンテナ」、「開口面アンテナ」、
 「中波放送用モノポールアンテナ」、「カーテンアンテナ(短波国際放送用)」
 について各々算出式を示した。

4 標準測定方法
 (1) 測定方法
  1) 専用の等方性電磁界プローブを用いる方法を提示
  2) 汎用の測定器を用いる方法を提示
 (2) 基本的な測定手順
  1) 人体の占める空間を走査し、最大値を示すポイントで測定
  2) この値が基準値を超える場合、より詳細な測定方法を提示

5 課    題
 (1) 誘導電流、接触電流の測定技術の確立
 (2) 電波防護指針適合性確認のための電磁界プローブ(1GHz以上の磁界プローブ、
   複数波が測定できるプローブ)の開発推進
          こう
 (3) 国内における較正体制の充実