1.総合無線局監理システム(PARTNER)の目的
総合無線局監理システム(PARTNER:Productive And Reliable Telecommunications NEtwork for Radio stations。「パートナー」と読みます。以下「PARTNER」と表記します。)は、無線局に関する各種のデータベースを構築し、そのデータベースを活用して、無線局申請処理、周波数管理等の電波監理事務の迅速かつ効率的な実施を支援するためのシステムです。
PARTNERの主要目的は次の三つです。
- 無線局監理事務の効率化
- 電波の利用者への行政サービスの向上
- 電波行政施策の企画立案等の支援
2.PARTNERの概要
- 機能概要
PARTNERは、電波法に基づき、約3億局(令和3年度末)ある無線局全般にわたって申請受付、審査、免許状発行、監理・監視及び各種情報の提供などのサービスを、平成8年度からインターネット経由で原則24時間、365日提供しています。国民生活、企業活動に係る電波利用に重要な役割を果たしており、社会的な影響の大きいシステムです。PARTNERの機能概要は次のとおりです。
- 整備計画
PARTNERの整備については、3か年ごとに策定する整備計画に沿って実施しています。令和2年度からは、更なる利便性向上を目指し、次期システムへの抜本的な刷新に取り組んでいます。これまでの整備計画と現在実施中の第XI期整備計画の内容は次のとおりです。
第I期
(平成5年度~7年度)- 無線局申請等処理、電波監視支援、電波利用料徴収等の八つの業務処理機能の開発
- 平成8年4月から運用を開始
第II期
(平成8年度~10年度)第I期 機能の拡充- FD申請機能の開発
- 無線局免許処理等の電子決裁機能の開発
- インターネット等による電子情報公開機能の開発
第III期
(平成11年度~13年度)- 電子決裁機能の高度化
- セキュリティ機能の高度化
- モバイルコンピューティングの導入
- 業務支援・検索機能の充実
第IV期
(平成14年度~16年度)- インターネットオンライン申請システムの構築
- 手数料、電波利用料の電子収納機能の開発
- 政策支援機能の開発
- 将来システム(Webコンピューティング、センター集中処理)の開発
第V期
(平成17年度~19年度)- インテリジェント申請・審査支援機能の開発
- セキュリティ機能の強化
- 業務処理機能の高度化
第VI期
(平成20年度~22年度)- ID/パスワード方式による電子申請システムの導入(アマチュア局)
- 仮想化基盤の導入
- 無線局情報入力支援機能の開発
- 端末のシンクライアント化
第VII期
(平成23年度~25年度)- ハードウェア基盤の更改
- 法制度改正への対応のためのシステム整備
- ユーザビリティの向上
第VIII期
(平成26年度~28年度)- 行政サービスのさらなる向上
- 時勢に即した国民のニーズへの対応
- 次世代システム構築に向けた準備
第IX期
(平成29年度~令和元年度)- 国民視点での利便性向上
- システムの長期的安定運用
- 経費の効率的な運用
第X期
(令和2年度~令和4年度)- システム安定運用の継続確保
- 利用者視点の次期システム検討
第XI期
(令和5年度~令和7年度)- 利用者(国民)が無線局開設手続等を簡単に実施
- 利用者(職員)が日々の業務を機動的・効率的に推進
- 弾力性のあるコンパクトなシステムの構築・運用
また、整備計画以外にも、政府方針等を踏まえたシステム全体に対する見直しを行っています。これまでに行った主要な見直しについての計画とその概要は次のとおりです。
- ①電波監理業務の業務・システム最適化計画(平成16年10月22日)
「業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)第2版」(平成16年2月10日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)においては、平成17年度末までのできるだけ早期に業務・システムに係る最適化計画を策定することとされました。本指針では、PARTNERでの処理を含む電波監理業務も最適化計画の策定対象とされていることから、「電波監理業務の業務・システム見直し方針」を策定しました。本方針と具体的な取組を定める「電波監理業務の業務・システム最適化計画」に沿って、PARTNERにおける業務処理の効率化、外部委託及びシステムの一元化・集中化等の改革に取り組みました。
- ②総合無線局監理システムにおけるユーザビリティ向上計画(平成22年12月)
「電子政府ユーザビリティガイドライン」(平成21年7月1日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)においては、「オンライン利用拡大行動計画」(平成20年9月12日IT戦略本部決定)が定める重点手続を取り扱う政府のオンライン申請システム等について、平成22年度中頃までを目途にユーザビリティ向上計画を作成・公表することとされました。PARTNERは重点手続を取り扱うものであることから、「総合無線局監理システムにおけるユーザビリティ向上計画」を策定しました。本計画に沿って、平成25年度までの間、アマチュア局を対象とする「電子申請・届出システムLite」について、利用者の利便性向上に向けた取組を順次行いました。
- ③総務省所管オンライン利用促進重点手続に関する業務プロセス改革計画(平成24年5月16日)
「新たなオンライン利用に関する計画」(平成23年8月3日IT戦略本部決定)においては、オンライン利用の範囲を見直すとともに、オンライン利用に関するサービスの品質の向上、利用の促進等を図るための業務プロセス改革を実施することとされました。これを受け、総務省所管のオンライン利用が可能な重点手続(無線局免許申請及び再免許申請)について、「総務省所管オンライン利用促進重点手続に関する業務プロセス改革計画」を策定しました。本計画に沿って、平成25年度までの間、国民の視点に立って、オンライン利用率のみならず、オンライン利用に関するサービスの品質の向上に重点を置いた業務・システムの改善及び行政運営の効率化に取り組みました。
- 処理機能の概要
PARTNERの主な処理機能は次のとおりです。
(1) 無線局申請等処理 無線局の許認可に係る業務(受付、審査、免許状作成等) (2) 電波利用料徴収 電波利用料徴収に係る業務(債権確認、収納、督促等) (3) 無線局監督 無線局検査に係る業務(計画作成、検査通知等) (4) 周波数管理 周波数管理に係る業務(周波数利用状況の把握等) (5) 伝搬障害防止 伝搬障害防止区域指定、障害判定等 (6) 技術計算 混信検討、回線経路図作成等 (7) 無線局統計 無線局数等の統計データ管理、統計分析等 (8) 電子情報提供 電波利用手続等の情報提供 - 導入の効果
- ①免許申請処理の迅速化
無線局の増加に伴い、免許申請処理事務や免許の際の混信検討・審査等が大幅に増大しています。事務処理期間が増大しないように機械化により効率化を図っています。
また、オンライン申請による利便性の向上や簡素化、迅速化を図り、行政サービスの向上を目指します。 - ②周波数の有効利用の促進
無線局データベースの電子化及び機械化処理によって、周波数利用状況の迅速な把握が可能になり、周波数の割当事務等の効率化を図ることができます。また、このデータベースを利用することで円滑に電波監視業務を実施することが可能となり、よりよい電波環境を構築するのに役立っています。
- ③情報提供の促進
電波利用手続の情報提供等により、利用者の電波利用の拡大を図るほか、無線局情報検索機能の提供により、電波行政の一層の透明性を求める皆様の期待に応えるとともに、新たな電波利用を希望する場合に、事前に周波数利用の可能性を検討できるようにするなど、利用者ニーズを無線局監理へ反映していきます。
- ①免許申請処理の迅速化
3.PARTNERの予算推移
注:以下の年度については、システムの更改に伴う移行経費を含む。(単位:億円)
平成24年度:5.4、平成25年度:30.1、平成26年度:33.5、平成27年度:31.0、平成28年度:31.0、平成29年度:4.8、平成30年度:17.8、令和元年度:32.5、令和2年度:41.8、令和3年度:41.6
4.電子申請件数推移
注:無線局免許申請、再免許申請のみを計上。