○昭和三十五年郵政省告示第六百四十号(無線局免許手続規則第七条第二項の規定に基づく放送区域等を計算による電界強度に基づいて定める場合における当該電界強度の算出の方法)

(昭和三十五年八月九日)

(郵政省告示第六百四十号)

無線局免許手続規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十五号)第七条第四項の規定に基づき、放送区域等を計算による電界強度に基づいて定める場合における当該電界強度の算出の方法を次のように定める。

1 中波放送を行う基幹放送局

(1) 電界強度の計算は、地上波についてのみ行なうものとする。

(2) 電波の伝ぱん路が均一路(大地定数が全伝ぱん路を通じ一定である伝ぱん路をいう。以下同じ。)の場合の電界強度は、次式により算出するものとする。

E=Eo√(Pe)(mV/m)

Pe=(Gη)D(θ)Pt(kw)

Eは受信点電界強度(mV/m)

Eoは空中線電力Ptが1キロワツトのときの均一路の大地定数に対する電界強度(別表第1図から第4図までによつて求める。)(mV/m)

Peは有効ふく射電力

(Gη)は空中線見かけ効率

D(θ)は空中線指向性係数

上記の計算式の記号の意義は、以下に示す計算式に適用するものとする。

1 別表第1図から第4図までの図表は、次の伝ぱん路別定数に基づいて作成したものである。

区別

伝ぱん路の大地の導電率(σ(mU/m))

伝ぱん路の大地の比誘電率(εr)

陸上

 

 

山岳地帯

1

15

丘陵地帯

2

15

平野地帯

5

15

海上

5,000

80

2 空中線見かけ効率(Gη)とは、任意の接地空中線と当該空中線の位置において完全導体大地上に設置された使用周波数の波長に比してじゆうぶん短い接地空中線とに同一の値の空中線電力を供給した場合において、当該空中線の位置から約1キロメートル離れた同一の点に与える両者の電界強度の2乗の比をパーセントで表わしたものをいい、その値は、空中線電力の別に従い、次のとおりとする。

空中線電力

50キロワツト以上

130%

10キロワツト以上50キロワツト未満

120%

3キロワツト以上10キロワツト未満

100%

1キロワツト以上3キロワツト未満

90%

0.5キロワツト以上1キロワツト未満

70%

0.5キロワツト未満

70%

(3) 電波の伝ぱん路が混合路(均一路でない伝ぱん路をいう。以下同じ。)の場合の電界強度は、次式により算出するものとする。

E=Em√(Pe)(mV/m)

Emは空中線電力Ptが1キロワツトのときの混合路における電界強度(別表第5図参照)(mV/m)

1 別表第5図の電界強度曲線Ⅰ、Ⅱ及びⅢは、別表第1図から第4図までにより、大地定数がそれぞれσ1、σ2及びσ3の伝ぱん路に対する電界強度を求めたものである。また、同図においてd1、d2及びd3は、それぞれ大地定数σ1、σ2及びσ3の伝ぱん路の距離を示す。

2 Emの算出方法

点T、A、B及びCがこの順に同一直線上にあるとし、TA、AB及びBCの大地定数が相異なるものとするとき、送信点Tから発射される電波のC点における電界強度Emは、次のようにして求めるものとする(別表第5図参照)。

(1) TA、AB及びBCの大地定数をそれぞれσ1、σ2及びσ3としてC点における電界強度を求める。すなわち、まず、曲線Ⅰ上におけるA点の電界強度を示すEA′を基点として曲線Ⅱに対する平行曲線を描き、次に、この曲線上におけるB点の電界強度を示すEB′を基点として曲線Ⅲに対する平行曲線を描き、この曲線上におけるC点の電界強度を示すEC′を求める。

(2) 次に大地定数及び区間が(1)の場合と逆の順序(σ3、σ2、σ1の順)にある場合におけるC点の電界強度EC″を(1)に準じて求める。

(3) (1)及び(2)によつて求めたEC′及びEC″の値を用いて、次式によりC点の電界強度Emを算出する。

Em=√(EC′・EC″)(mV/m)

(4) 7,000ボルトをこえる電気を通ずる電線路(以下「送電線」という。)を空中線として中波放送を行う基幹放送局の電界強度の計算は、(1)から(3)までの方法にかかわらず、次の方法により行なうものとする。

ア 送電線の直下における電界強度は、次式により算出する。

Eh(db)=E10(db)+Ec(db)

Ehは受信点電界強度(db/1μV/m)

E10は送電線の地上高が10メートルのときの当該送電線の直下の電界強度(別表第5図の2によつて求める。)(db/1μV/m)

Ecは送電線の地上高がhメートルのときのE10に対する補正値(別表第5図の3によつて求める。)(db)

イ 地表面上において送電線に対し直角の方向の電界強度は、次式により算出する。

ER(db)=Eh(db)-AR(db)

ERは地表面上において送電線に対し直角の方向の受信点電界強度(db/1μV/m)

ARは送電線の地上高がhメートルのとき、地表面上における直角方向に送電線の直下からdメートルの地点における減衰量(別表第5図の4によつて求める。)(db)

2 超短波放送、テレビジヨン放送、超短波音声多重放送又は超短波文字多重放送を行う基幹放送局(移動受信用地上基幹放送を行うものを除く。以下2において同じ。)

(1) 山岳回折に関係する山(地形の見通図(注1)において、送信空中線ふく射体中心部と受信点(地上高4メートルの点とする。ただし、使用する電波の周波数が300MHzをこえる場合であつて、その点が市街地内にあるとき(注2)は、その点を中心とする1キロメートル平方の地表の平均の高さから10メートルの高さの点とする。以下同じ。)とを空間を通つて最短距離で結ぶとき、その線が接する山等の障害物をいう。以下同じ。)がない場合の電界強度は、次式によつて算出するものとする。

E=(222√(P)/d)・A0・C(mV/m)

Pは受信点方向の実効ふく射電力(kw)

dは送受信点間の地図上の距離(km)

A0は注3に定める方法により求めた値

Cは注4に定める方法により求めた値

上記の計算式の記号の意義は、以下に示す計算式において適用するものとする。

(2) 山岳回折に関係するn個の山(以下において、送信点からみて順次一番目の山、二番目の山…………、n番目の山という。)がある場合の電界強度は、次式によつて算出するものとする。

E=(222√(P)/d)・A1・An+1・S1・S2………・Sn・C(mV/m)

A1、An+1は注3に定める方法により求めた値

S1、S2、……………、Snはそれぞれ一番目の山、二番目の山、……………n番目の山の回折係数であつて注5に定める方法により求めた値

1 電界強度の算出にあたり必要な地形の見通図は、20万分の1以上の精密度を有する地図によつて作成するものとする。この場合において、地球の等価半径は、8,500キロメートル(実際の地球平均半径の約3分の4倍に相当する。)とする。

2 受信点が市街地内にあるときとは、注4の(2)のイのΓの値が1パーセント以上となるときをいう。

3 Ai(iは0,1又はn+1とする。)は、次の要領によつて求めるものとする。

(1) 考察する二点(i=0の場合は送信空中線ふく射体中心部と受信点を、i=1の場合は送信空中線ふく射体中心部と山岳回折に関係する一番目の山の頂上を、i=n+1の場合は山岳回折に関係するn番目の山の頂上と受信点をいう。以下同じ。)が見通しの関係にある場合

ア 考察する二点のうちの一点、その二点間の電波反射点(地図上の二点を結ぶ線分を二点のそれぞれの海抜高に従つて、その比に内分した点を通る鉛直線と見通図上の地表線との交点をいう。以下同じ。)及び考察する二点のうちの他の一点を順次に結ぶ二つの線分のうち、いずれかが山等の障害物でさえぎられる場合のAiは1とする。

イ 考察する二点のうちの一点、その二点間の電波反射点及び考察する二点のうちの他の一点を順次に結ぶ二つの線分がいずれも山等の障害物でさえぎられない場合のAiは、超短波放送、超短波音声多重放送又は超短波文字多重放送を行う基幹放送局にあつては別表第5図の5から第5図の12まで、テレビジヨン放送を行う基幹放送局にあつては別表第14図から第21図までの図表により求める。この場合、図表上の記号は、次のとおりとする。

dは考察する二点間の地図上の距離(km)

h1及びh2は考察する二点の海抜高からそれぞれその二点間の電波反射点の海抜高を差し引いた値(m)

A′は20log10Ai(db)

なお、別表第5図の5から第5図の12まで又は別表第6図から第21図までにh1又はh2に一致する図表又は曲線がない場合は、次の要領によりA′を求める。

(ア) h1に一致する図表はあるが、h2に一致する曲線がない場合

h2に最も近い二つの曲線から二つのA′の近似値を求め、この二つのA′の近似値をh2に一致する値となるように比例配分して求める。

(イ) h2に一致する曲線はあるが、h1に一致する図表がない場合

h1に最も近い二つの図表から二つのA′の近似値を求め、この二つのA′の近似値をh1に一致する値となるように比例配分して求める。

(ウ) h1及びh2に一致する図表及び曲線がない場合

h1に最も近い二つの図表から(ア)の方法に準じてh2に一致する二つのA′の近似値を求め、次にこの二つのA′の近似値をh1に一致する値となるように比例配分して求める。

(2) 考察する二点が地球の曲率のために見通しの関係にない場合

別表第5図の5から第5図の12まで又は別表第6図から第21図までの図表により、この注の(1)のイの方法により求める。ただし、h1及びh2は考察する二点の海抜高(m)とする。

4 Cは、次の要領によつて求めるものとする。

(1) 300MHz以下の周波数の電波を使用する場合のCは1とする。

(2) 300MHzをこえる周波数の電波を使用する場合

ア 受信点が市街地内にない場合のCは、別表第22図の1により求める。

イ 受信点が市街地内にある場合のCは、別表第22図の2により求める。この場合、図表上の記号は、次のとおりとする。

Γは受信点を中心とする1キロメートル平方の地表の平均の高さから10メートルの高さにおける当該1キロメートル平方内にある建築構造物の水平断面積の総和の1平方キロメートルに対する百分率(%)

φは受信点から送信空中線ふく射体中心部(山岳回折に関係するn個の山がある場合はn番目の山の頂上とする。)をみる仰角(rad)とし、別表第23図の1及び別表第23図の2により求める。

C′は、20log10C(db)

なお、別表第22図の2にΓに一致する曲線がない場合は、Γに最も近い二つの曲線から二つのC′の近似値を求め、この二つのC′の近似値をΓに一致する値となるように比例配分して求める。

5 Si(iは、1、2、……………、nとする。)は、i番目の山に対応するDi及びHiを用いて、超短波放送、超短波音声多重放送又は超短波文字多重放送を行う基幹放送局にあつては別表第5図の13により、テレビジヨン放送を行う基幹放送局にあつては別表第25図により求める。この場合、図表上の記号は、次のとおりとする。

Di=((d1+d2+……………+di)di+1)/(d1+d2+……………+di+1)

d1+d2+……………+diは送信点からi番目の山までの地図上の距離(km)

di+1はi番目の山からi+1番目の山(i=nのときは受信点)までの地図上の距離(km)

Hiは、次の値とする。

i=1の場合

送信空中線ふく射体中心部と二番目の山の頂上(n=1のときは受信点)とを結ぶ直線と一番目の山の頂上を通る鉛直線との交点の海抜高を一番目の山の海抜高から差し引いた値(m)

i≧2の場合

i番目の山の頂上とi-1番目の山の頂上とを結ぶ直線と送信点を通る鉛直線との交点を求め、この交点とi+1番目の山の頂上(i=nのときは受信点)とを結ぶ直線とi番目の山の頂上を通る鉛直線との交点の海抜高をi番目の山の海抜高から差し引いた値(m)

S′は、20log10Si(db)

なお、別表第5図の13又は別表第25図にHiに一致する曲線がない場合は、Hiに最も近い二つの曲線から二つのS′の近似値を求め、この二つのS′の近似値をHiに一致する値となるように比例配分して求める。

(昭39郵告4・昭42郵告852・昭43郵告536・昭53郵告627・昭57郵告880・昭63郵告345・平3郵告33・平8郵告205・平9郵告308・平23総省告244・平25総省告64・平25総省告440・一部改正)

改正文 (昭和三九年一月八日郵政省告示第四号) 抄

昭和三十八年十二月十日から適用する。

改正文 (平成二三年六月二九日総務省告示第二四四号) 抄

平成二十三年六月三十日から施行する。

別表第1図

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別表第2図

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別表第3図

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別表第4図

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別表第5図

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別表第5図の2

(昭39郵告4・追加)

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別表第5図の3

(昭39郵告4・追加)

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別表第5図の4

(昭39郵告4・追加)

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別表第5図の5

(昭43郵告536・追加)

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別表第5図の6

(昭43郵告536・追加)

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別表第5図の7

(昭43郵告536・追加)

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別表第5図の8

(昭43郵告536・追加)

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別表第5図の9

(昭43郵告536・追加)

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別表第5図の10

(昭43郵告536・追加)

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別表第5図の11

(昭43郵告536・追加)

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別表第5図の12

(昭43郵告536・追加)

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別表第5図の13

(昭43郵告536・追加)

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別表第6図から別表第13図まで 削除

(平25総省告64)

別表第14図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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別表第15図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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別表第16図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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別表第17図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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別表第18図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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別表第19図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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別表第20図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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別表第21図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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別表第22図の1(受信点が市街地内にない場合のC′)

(昭42郵告852・追加)

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別表第22図の2(受信点が市街地内にある場合のC′)

(昭42郵告852・追加)

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注 C′は地上高10mにおける補正値に地上高を10mから4mに低下したときの受信空中線高補正値を加えた値

別表第23図の1

(昭42郵告852・追加)

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1 ①軸上のhの値と②軸上のd′の値を結んで得られる直線と③軸との交点の値からφの値を求める。

2 hは送信空中線ふく射体中心部(山岳回折に関係するn個の山がある場合はn番目の山の頂上とする。)の海抜高から受信点の海抜高を差し引いた値(m)

3 d′は受信点から送信空中線ふく射体中心部(山岳回折に関係するn個の山がある場合は、n番目の山の頂上とする。)までの地図上の距離(km)

4 距離が10km以上のときには別表第23図の2により補正を行なう。

別表第23図の2

(昭42郵告852・追加)

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1 ③軸上のφの値と④軸上のd′の値を結んで得られる直線と⑤軸との交点の値から補正後のφを求める。

2 d′は別表第23図の1の注3に同じ。

別表第24図 削除

(平25総省告64)

別表第25図

(昭42郵告852・追加、平8郵告205・平25総省告64・一部改正)

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無線局免許手続規則第七条第二項の規定に基づく放送区域等を計算による電界強度に基づいて定め...

昭和35年8月9日 郵政省告示第640号

(平成25年12月10日施行)

体系情報
第1編 法  令(令和5年1月1日現在)/第11章 情報通信/第2節 
沿革情報
昭和35年8月9日 郵政省告示第640号
昭和39年1月8日 郵政省告示第4号
昭和42年10月13日 郵政省告示第852号
昭和43年7月6日 郵政省告示第536号
昭和53年9月5日 郵政省告示第627号
昭和57年12月1日 郵政省告示第880号
昭和63年5月18日 郵政省告示第345号
平成3年1月22日 郵政省告示第33号
平成8年4月12日 郵政省告示第205号
平成9年6月24日 郵政省告示第308号
平成23年6月29日 総務省告示第244号
平成25年2月20日 総務省告示第64号
平成25年12月10日 総務省告示第440号