○平成二年郵政省告示第五百七十四号(無線設備規則第四十五条の十二の十一第一号イ(4)等の規定に基づくACASの技術的条件)
(平成二年九月十八日)
(郵政省告示第五百七十四号)
無線設備規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十八号)第四十五条の十二の十一第一号イ(4)及び(6)、第二号イ(4)及び(7)並びに第四号の規定に基づき、ACASの技術的条件を次のように定める。
一 ACASⅠは、その航空機の航行中における通常の状態において、次の技術的条件に適合するものであること。
1 質問信号の送信回数及び送信電力は、別表に示すところにより制御されること。ただし、送信電力が四〇ワット以下のものについては、この限りでない。
2 九・三キロメートル以内の他の航空機の位置を測定することができること。
3 衝突の可能性がある他の航空機の相対的な位置情報を表示することができること。
4 方位測定の誤差は、空中線を平面又は円筒状の直径一・二メートル以上の円形板の中心に取り付けた状態で、全方位に対し、垂直面で(-)一〇度から(+)一〇度までの範囲において、一〇度(実効値)又は(±)三〇度(最大値)を、(+)一〇度から(+)二〇度までの範囲において、一五度(実効値)又は(±)四五度(最大値)を超えないこと。
5 モードSの質問信号を送信することができるものにあっては、当該質問信号のデータブロックの様式は、別図に示すものであること。
二 ACASⅡは、その航空機の航行中における通常の状態において、次の技術的条件に適合するものであること。
1 質問信号の送信回数及び送信電力は、次の三つの式を同時に満足するように制御されること。
(p(i)/250)α≦[280/(1+na)又は11/α2の小さい方]
m(i)≦0.01
1/B・(Pa(k)/250)≦[80/(1+na)又は3の小さい方]
it:質問信号の毎秒の送信回数。ただし、衝突を回避するための質問信号及び放送(応答を必要としない質問信号をいう。以下同じ。)を除く。
p(i):毎秒i番目の質問信号の等価等方輻射電力(ワット)
α:以下のように計算されるα1又はα2の小さい方が選択され、かつ、最小値0.5、最大値1.0であること。
α1:1/4(nb/nc)
α2:log10(na/nb)/log10(25)
nb:放送を受信することによって検出された自機から3NM以内の範囲において運用中のACASを設置している航空機の数
nc:放送を受信することによって検出された自機から6NM以内の範囲において運用中のACASを設置している航空機の数
na:放送を受信することによって検出されたACASを設置している航空機の数
m(i):毎秒i番目の質問信号による自航空機のATCトランスポンダの抑圧時間(秒)
B:ビーム・シャープニング係数
B=質問信号のビーム幅/抑圧信号のビーム幅
kt:モードA/Cの質問信号の毎秒の送信回数
Pa(k):毎秒k番目のモードA/Cの質問信号の等価等方輻射電力(ワット)
2 二六キロメートル以内の他の航空機の位置を測定することができること。
3 衝突の可能性がある他の航空機の相対的な位置情報を表示することができること。
4 衝突の危険性がある他の航空機に対する垂直方向の回避情報を表示することができること。
5 距離測定の分解能は、一四・五メートル以下であること。
6 方位測定の誤差は、空中線を平面又は円筒状の直径一・二メートル以上の円形板の中心に取り付けた場合において、水平面で三六〇度、垂直面で(-)一〇度から(+)一〇度までの範囲においては九度(実効値)又は(±)二七度(最大値)を超えないこと。また、水平面で三六〇度、垂直面で(+)一〇度から(+)二〇度までの範囲においては一五度(実効値)又は(±)四五度(最大値)を超えないこと。
7 給電線の損失が三デシベルの場合において、尖頭電力の値が最大感度の点を三デシベル超える値以上(-)二四デシベル(一ミリワットを〇デシベルとする。)以下の範囲の振幅の等しい応答信号を受信した場合には、機体の上部及び下部に取り付けられた空中線の間の受信遅延の差は、〇・〇五マイクロ秒を超えないこと。
8 機体の上部に取り付けられた空中線は、指向性を有し、かつ、方向探知に用いることが可能なものであること。
9 モードSの質問信号のデータブロックの様式は、別図に示すものであること。
三 前各項に定めるもののほか、ACASの技術的条件については、国際民間航空条約第十附属書第四巻の定めるところによる。
(平一四総省告三四二・平二二総省告三一六・平二三総省告二〇四・一部改正)
附 則 (平成一四年六月一四日総務省告示第三四二号)
この告示の施行の日前に航空機に設置したACASの技術的条件は、この告示による改正後の技術的条件にかかわらず、なお従前の例によることができる。
別表
(平14総省告342・平23総省告204・一部改正)
na | Pa(k)の上限 | |
fr≦240 | fr>240 | |
0 | 250 | 118 |
1 | 250 | 113 |
2 | 250 | 108 |
3 | 250 | 103 |
4 | 250 | 98 |
5 | 250 | 94 |
6 | 250 | 89 |
7 | 250 | 84 |
8 | 250 | 79 |
9 | 250 | 74 |
10 | 245 | 70 |
11 | 228 | 65 |
12 | 210 | 60 |
13 | 193 | 55 |
14 | 175 | 50 |
15 | 158 | 45 |
16 | 144 | 41 |
17 | 126 | 36 |
18 | 109 | 31 |
19 | 91 | 26 |
20 | 74 | 21 |
21 | 60 | 17 |
22以上 | 42 | 12 |
kt:モードA/Cの質問信号の毎秒の送信回数
Pa(k):毎秒k番目のモードA/Cの質問信号の等価等方輻射電力(ワット)
na:放送を受信することによって検出されたACASを設置している航空機の数
fr:モードA/Cの質問信号に対する自航空機のATCトランスポンダの毎秒の応答回数
別図 ACASの質問信号のデータブロックの様式
(平22総省告316・一部改正)
注1 誤り検出のための符号化を行った相手航空機局の標識信号とし、標識信号をa1,a2,a3,a4,a5,a6,a7,a8,a9,a10,a11,a12,a13,a14,a15,a16,a17,a18,a19,a20,a21,a22,a23,a24としたとき、24ビットの符号のうちi番目の符号は、biPiとする。
この場合においてbiは、(X24+X21+X14+X12+X11+X10+X9+X8+X7+X6+X5+X4+X3+X2+X+1)・〔aiXi-1〕のXi-1項の係数とし、Piは、X24・M(X)をX24+X23+X22+X21+X20+X19+X18+X17+X16+X15+X14+X13+X12+X10+X3+1で除したときの剰余R(X)のX24-iの係数とする。
注2 選択質問とは、個別の航空機を選択して呼び出すための質問をいう。
注3 自航空機局の標識信号とする。