○平成十七年総務省告示第千二百二十五号(無線設備規則第十四条第三項等の規定に基づく衛星非常用位置指示無線標識の技術的条件)
(平成十七年十月二十一日)
(総務省告示第千二百二十五号)
無線設備規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十八号)第十四条第三項、第四十五条の二第一項第五号、第二項第五号及び第三項第四号並びに別表第三号の13の規定に基づき、衛星非常用位置指示無線標識の技術的条件を次のように定め、平成十七年十二月一日から施行する。
なお、平成二年郵政省告示第五百七十二号(衛星非常用位置指示無線標識の技術的条件を定める件)は平成十七年十一月三十日限り廃止する。
一 衛星非常用位置指示無線標識は、次の条件に適合すること。
1 電源の極性の偶発的な反転からの保護手段を有すること。
2 自動的に船体から離脱させるための装置は、四メートルの水深に達する前に作動するものであり、かつ、独立して機能試験を行うことができるものであること。
3 手動により遭難警報を送出するための専用の装置は、独立した二以上の操作により作動するものであること。
4 通常の取付位置において、製造者名、型式名、製造番号、識別信号(船舶局識別(施行規則第六条の五第三号に規定する海上移動業務識別のうち、船舶において使用するものをいう。以下同じ。))及び電池の有効期限が明確に判読できるように外部に表示されていること。
5 視認でき、かつ、暗視装置での確認が可能な低照度の点滅灯を備えること。
二 設備規則第四十五条の二第一項の衛星非常用位置指示無線標識は、前項に掲げるもののほか、次の条件に適合すること。
1 人工衛星向けの信号にG一B電波又はG一D電波四〇六・〇二五MHz、四〇六・〇二八MHz、四〇六・〇三一MHz、四〇六・〇三七MHz又は四〇六・〇四MHz、航空機がホーミングするための信号にA三X電波一二一・五MHz並びに位置に関する信号にF一D電波一六一・九七五MHz及び一六二・〇二五MHzを使用するものであること。
2 G一B電波を使用する人工衛星向け装置は、次の条件に適合するものであること。
(一) 空中線端子を短絡又は開放しても故障しないこと。
(二) 偶発的に電波の発射が連続して行われるときは、四十五秒以内にその発射を停止できること。
(三) 周波数の変動(十五分間の変動における直線回帰の一分当たりの傾斜の値をいう。)は十億分の一以下であり、かつ、直線回帰により求められた直線からのばらつきは十億分の三以下であること。
(四) 空中線電力は、五ワット(許容偏差は、(±)二デシベルとする。)であること。
(五) 帯域外領域における不要発射の強度の許容値は、別図のとおりであること。
(六) 送信信号は、次の条件に適合するものであること。
(1) 構成は、国際的なコスパス・サーサット計画協定に基づいた技術仕様に適合するものであること。
(2) 自己診断モードで送信する信号の送信時間にあっては、四四〇ミリ秒又は五二〇ミリ秒(許容偏差は、それぞれ(±)一パーセントとする。)であり、かつ、送信回数は一回であること。
(3) 誤り検定符号はBCH符号とし、その生成多項式は、次のとおりとする。
G1(X)=1+X3+X7
G3(X)=G1(X)・(1+X+X2+X3+X7)
G5(X)=G3(X)・(1+X2+X3+X4+X7)
=1+X+X5+X6+X7+X8+X11+X12+X14+X15+X17+X18+X21
(4) 伝送速度は、毎秒四〇〇ビット(許容偏差は、(±)一パーセントとする。)であること。
3 G一D電波を使用する人工衛星向け装置は、次の条件に適合するものであること。
(一) 前号(一)、(二)及び(五)に掲げるもの
(二) 送信空中線の等価等方輻射電力(一ミリワットを〇デシベルとする。以下この号において同じ。)の許容値は、次の表のとおりとする。なお、各仰角における輻射電力の値のうち、六五パーセントを超えるものが許容値の範囲内にあり、かつ、五五度以下の各仰角における輻射電力の値は、九〇パーセント以上が許容値の範囲内にあること。また、水平面における指向特性は無指向とし、三五デシベル以上四五デシベル以下であること。
仰角(度)(注) | 等価等方輻射電力の最大許容値(デシベル) | 等価等方輻射電力の最小許容値(デシベル) |
一〇 | 四五 | 三四 |
一五 | 四五 | 三四 |
二〇 | 四五 | 三四 |
二五 | 四五 | 三四 |
三〇 | 四五 | 三四 |
三五 | 四五 | 三四 |
四〇 | 四五 | 三四 |
四五 | 四五 | 三四 |
五〇 | 四五 | 三四 |
五五 | 四四 | 三四 |
六〇 | 四四 | 三四 |
六五 | 四四 | 三三 |
七〇 | 四四 | 三三 |
七五 | 四四 | 三三 |
八〇 | 四四 | 三三 |
八五 | 四四 | 三三 |
注 送信空中線の輻射の中心からみた地表線の仰角をいい、度で表す。
(三) 帯域外領域における不要発射の強度の許容値は、別図のとおりであること。
(四) 送信信号は、次の条件に適合するものであること。
(1) 構成は、国際的なコスパス・サーサット計画協定に基づいた技術仕様に適合するものであること。
(2) 自己診断モードで送信する各信号の送信継続時間は三秒以内とし、かつ、送信回数は一回であること。
(3) 誤り検定符号はBCH符号とし、その生成多項式は、次のとおりとする。
G1(X)=1+X2+X3+X4+X8
G3(X)=G1(X)・(1+X+X2+X4+X5+X6+X8)
G5(X)=G3(X)・(1+X+X4+X5+X6+X7+X8)
G7(X)=G5(X)・(1+X3+X5+X6+X8)
G9(X)=G7(X)・(1+X2+X3+X4+X5+X7+X8)
G11(X)=G9(X)・(1+X+X2+X5+X6+X7+X8)
=1+X+X2+X4+X7+X10+X11+X12+X13+X16+X17+X18+X19+X20+X22+X23+X24+X26+X31+X32+X33+X35+X37+X38+X39+X40+X41+X42+X46+X47+X48
(4) 伝送速度は、毎秒三〇〇ビットであること。
4 A三X電波を使用する航空機向け装置は、次の条件に適合するものであること。
(一) 航空機がホーミングするための信号は、当該装置により連続送信するものとし、送信時間の割合が二、二五〇ミリ秒当たり五〇パーセント以上となること。ただし、当該航空機がホーミングするための信号の送信が、前二号の装置による人工衛星向けの信号の送信により最大二秒間中断される場合及び第五号の装置による信号の送信により最大五〇ミリ秒間中断される場合は、この限りでない。
(二) (一)のただし書に規定する中断の後、航空機がホーミングするための信号を再送信する場合には、当該信号の搬送波の周波数偏移は、(±)三〇Hz以内であること。
(三) 尖頭実効輻射電力(送信機から空中線に供給される尖頭電力と与えられた方向における空中線の相対利得との積の値をいう。)は、五〇ミリワット(許容偏差は、(±)三デシベルとする。)であること。
(四) 帯域外領域における不要発射の強度の許容値は、別図のとおりであること。
5 F一D電波を使用する装置は、次の条件に適合するものであること。
(一) 電源投入後、一分以内に通報の送信を開始するものであること。
(二) 第二号の装置による人工衛星向けの信号の送信を妨げないものであること。
(三) 平成二十一年総務省告示第五百六十五号(捜索救助用位置指示送信装置の技術的条件を定める件)第一号から第三号までのとおりであること。
三 設備規則第四十五条の二第二項の衛星非常用位置指示無線標識は、第一項各号(第二号を除く。)及び第二項各号に掲げる条件に適合すること。
(平一八総省告三二二・平一八総省告六〇六・平二〇総省告七一一・平二三総省告五四九・平二七総省告二八一・平二八総省告四七五・令四総省告三一五・一部改正)
附 則
1 平成八年郵政省告示第五百七十一号附則第二項の規定の適用がある衛星非常用位置指示無線標識の技術的条件については、この告示の施行後においても、その設置が継続する限り、なお従前の例によることができる。
2 平成八年郵政省告示第五百七十一号附則第三項の規定により型式検定の合格機器とみなされた衛星非常用位置指示無線標識は、この告示の施行後においても、その設置が継続する限り、合格機器とみなす。
改正文 (平成二八年一二月二七日総務省告示第四七五号) 抄
平成二十九年一月一日から施行する。
別図 帯域外領域における不要発射の強度の許容値
(平27総省告281・全改、令4総省告315・一部改正)
1 G1B電波を使用する人工衛星向け信号
2 G1D電波を使用する人工衛星向け信号
注:送信バースト時間内の平均等価等方輻射電力とする。
3 A3X電波を使用する航空機向けホーミング信号