○平成二十一年総務省告示第三百十二号(無線設備規則第四十五条の三の四第一項第五号、第二項第二号並びに第三項第一号ニ及び第四号の規定に基づく船舶自動識別装置及び簡易型船舶自動識別装置の技術的条件)
(平成二十一年六月八日)
(総務省告示第三百十二号)
無線設備規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十八号)第四十五条の三の四第一項第五号、第二項第三号並びに第三項第一号ニ及び第四号の規定に基づき、船舶自動識別装置及び簡易型船舶自動識別装置の技術的条件を次のように定める。
なお、平成十四年総務省告示第三百八十九号(船舶自動識別装置の技術的条件を定める件)は、廃止する。
第一 船舶局に備える船舶自動識別装置の技術的条件
一 一般的条件
1 自動モードにおける情報の送信時間間隔は、静的情報及び航行関連情報の送信においては六分とし、動的情報の送信においては、次表の上欄に掲げる船舶の状態に応じて、それぞれ下欄のとおりであること。
船舶の状態 | 送信時間間隔 |
停泊中又は係留中であって、速度三ノット以下で動いている場合 | 三分 |
停泊中又は係留中であって、速度三ノットを超えて動いている場合 | 一〇秒 |
速度一四ノット以下で航行中の場合(針路変更中の場合を除く。) | 一〇秒 |
速度一四ノット以下で航行中であり、針路変更中の場合 | 三分の十秒 |
速度一四ノットを超え二三ノット以下で航行中の場合(針路変更中の場合を除く。) | 六秒 |
速度一四ノットを超え二三ノット以下で航行中であり、針路変更中の場合 | 二秒 |
速度二三ノットを超えて航行中の場合 | 二秒 |
2 機器が正常に動作していることの試験は、任意の周期を設定して行うことができること。
3 空中線系の開放又は短絡により動作中の装置に損傷を与えないこと。
二 送信装置
1 二つの異なる周波数で交互に送信を行うことができること。
2 メッセージの構造は次のとおりとし、その他メッセージに関する事項はITU―R勧告(国際電気通信連合無線通信部門の勧告をいう。以下同じ。)M.1371に従うこと。
三 時分割多元接続方式受信部
相互変調特性は、受信機入力(-)一〇一デシベル(一ミリワットを〇デシベルとする。以下同じ。)の希望波信号と次のいずれかの妨害波を同時に加えたときのパケット誤り率がそれぞれ二〇パーセント以下であること。
妨害波 | 周波数 | 変調 | レベル |
一 | 希望波(±)五〇〇kHz | 四〇〇ヘルツ偏移(±)三kHz | (-)二七デシベル |
二 | 希望波(±)一MHz | 無変調 | (-)二七デシベル |
三 | 希望波(±)五・七二五MHz | 無変調 | (-)一五デシベル |
四 デジタル選択呼出装置受信部
1 相互変調特性は、受信機入力(-)一〇四デシベルの希望波信号と希望波周波数より五〇kHz高い無変調信号の妨害波及び希望波周波数より一〇〇kHz高い四〇〇ヘルツ(周波数偏移は(±)三kHzとする。)で変調された妨害波のいずれかを同時に加えた場合において、ビット誤り率がそれぞれ一パーセントとなるときの妨害波のレベルは、(-)三九デシベル以上であること。
2 感度抑圧効果は、受信機入力(-)一〇四デシベルの希望波信号と希望波周波数(±)一MHzから一〇MHz離れた無変調の妨害波を同時に加えた場合において、ビット誤り率が一パーセントとなるときの妨害波のレベルは、(-)二〇デシベル以上であること。
第二 海岸局に備える船舶自動識別装置の技術的条件
一 設備規則第四十五号の三の四第二項第一号に掲げるもの
1 船舶局に対して情報の送信時間間隔を任意に指定することができること。
2 チャネル管理メッセージを使用することができること。
3 船舶局の送信信号に対してレピータ動作を行うことができること。
4 施行規則第六条の五第三号に規定する海上移動業務識別(以下「海上移動業務識別」という。)を用いて個々の船舶局に対してメッセージを送信することができること。
5 一斉同報メッセージを送信することができること。
6 デジタル選択呼出装置による受信が可能であるものにあっては、設備規則第四十五条の三の四第一項第三号ロの条件に適合するものであること。
二 設備規則第四十五条の三の四第二項第二号に掲げるもの
1 一の4及び5の条件に適合すること。
2 海上移動業務識別は、ITU―R勧告M.585に従うものであること。
第三 簡易型船舶自動識別装置の技術的条件
一 一般的条件
1 自動モードにおける情報の送信時間間隔は、静的情報の送信においては六分とし、動的情報の送信においては、次表の上欄に掲げる船舶の状態に応じて、それぞれ下欄のとおりであること。
船舶の状態 | 送信時間間隔 |
速度二ノット以下で航行中の場合 | 三分 |
速度二ノットを超えて航行中の場合 | 三〇秒 |
2 キャリアセンスは、次のとおりとする。
他の無線局の船舶自動識別装置から発射された電波を受信したときの、受信機入力レベルが(-)一〇七デシベル以上の値であって、雑音のレベルに一〇デシベルを加算した値又は雑音のレベルが(-)七七デシベルの値を超える場合は、電波の発射を行わないものであること。
3 チャネル管理は、海岸局からの制御のみにより行われること。
4 外部の機器に表示するため又は航行に関するデータを出力するため、IEC規格(国際電気標準会議の規格をいう。)61162に準拠したインターフェースを有すること。
二 時分割多元接続方式送信部
1 メッセージの構造は第一の二の2のとおりとする。
2 ITU―R勧告M.1371に定められているメッセージのうち、メッセージ番号が一三、一八、一九及び二四のものを送信することができること。
三 時分割多元接続方式受信部
1 相互変調特性は、受信機入力(-)一〇一デシベルの希望波信号と次のいずれかの妨害波を同時に加えたときのパケット誤り率が、それぞれ二〇パーセント以下であること。
妨害波 | 周波数 | 変調 | レベル |
一 | 希望波(±)五〇kHz | 無変調 | (-)三六デシベル |
二 | 希望波(±)一〇〇MHz | 四〇〇Hz偏移(±)三kHz | (-)三六デシベル |
2 感度抑圧効果は、受信機入力(-)一〇一デシベルの希望波信号と次の妨害波を同時に加えたときのパケット誤り率が、それぞれ二〇パーセント以下であること。
妨害波 | 周波数 | 変調 | レベル |
一 | 希望波(±)五〇〇kHz | 無変調 | (-)二三デシベル |
二 | 希望波(±)一MHz | 無変調 | (-)二三デシベル |
三 | 希望波(±)二MHz | 無変調 | (-)二三デシベル |
四 | 希望波(±)五MHz | 無変調 | (-)一五デシベル |
五 | 希望波(±)一〇MHz | 無変調 | (-)一五デシベル |
3 メッセージの構造は第一の二の2のとおりとする。
4 ITU―R勧告M.1371に定められているメッセージのうち、メッセージ番号が一から五まで、八、一二、一四、一五、一八及び二〇から二四までのものを受信することができること。