○平成二十六年総務省告示第二百三十四号(標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式第四条第一項等の規定に基づく映像信号のうちPESパケット等によるものの圧縮手順及び送出手順並びに音声信号のうちPESパケット等によるものの圧縮手順及び送出手順)

(平成二十六年七月三日)

(総務省告示第二百三十四号)

標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式(平成二十三年総務省令第八十七号)第四条第一項、第五条第一項、第二十四条の五第一項(第三十二条、第四十八条及び第八十一条第一項において準用する場合を含む。)、第四十四条、第六十二条第二項(第八十一条第一項及び第二項並びに第八十四条において準用する場合を含む。)、第六十四条第二項(第八十一条の三及び第八十四条において準用する場合を含む。)及び第七十二条の規定に基づき、映像信号のうちPESパケット、同期パケット及びMMTPパケットによるものの圧縮手順及び送出手順並びに音声信号のうちPESパケット、同期パケット及びMMTPパケットによるものの圧縮手順及び送出手順を次のように定め、平成二十六年七月三日から施行する。

なお、平成二十三年総務省告示第三百号(映像信号のうちPESパケットによるものの圧縮手順及び送出手順並びに音声信号のうちPESパケットによるものの圧縮手順及び送出手順を定める件)は、平成二十六年七月三日限り廃止する。

 映像信号のうちPESパケット、同期パケット又はMMTPパケットによるものの圧縮手順及び送出手順

 標準デジタルテレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式(以下「デジタル放送の標準方式」という。)第四条第一項に規定する映像信号の圧縮手順及び送出手順については、別表第一号に示すとおりとする。

 前号の規定により符号化された映像信号の構成は、別表第二号に示すとおりとする。

 デジタル放送の標準方式第二十四条の五第一項(第三十二条、第四十八条及び第八十一条第一項において準用する場合を含む。)に規定する映像信号の圧縮手順及び送出手順については、別表第三号に示すとおりとする。

 デジタル放送の標準方式第六十二条第二項(第八十一条第一項及び第二項並びに第八十四条において準用する場合を含む。)に規定する映像信号の圧縮手順及び送出手順については、別表第四号に示すとおりとする。

 音声信号のうちPESパケット、同期パケット又はMMTPパケットによるものの圧縮手順及び送出手順

 デジタル放送の標準方式第五条第一項、第四十四条及び第六十四条第二項第一号(第八十一条の三及び第八十四条において準用する場合を含む。)に規定する音声信号の圧縮手順及び送出手順については、別表第五号に示すとおりとする。

 デジタル放送の標準方式第二十四条の七及び第六十四条第二項第二号(第八十一条の三及び第八十四条において準用する場合を含む。)に規定する音声信号の圧縮手順及び送出手順については、別表第六号に示すとおりとする。

 デジタル放送の標準方式第七十二条に規定する音声信号の圧縮手順及び送出手順については、別表第七号に示すとおりとする。

(平二六総省告三六七・一部改正)

別表第一号 デジタル放送の標準方式第四条第一項に規定する映像信号の圧縮手順及び送出手順

画像

1 DCTは、離散コサイン変換処理を示し、映像の水平方向をx軸、垂直方向をy軸とした場合のN×Nの画素f(x,y)に対する2次元DCT係数F(u,v)は、以下のとおり定義される。

画像

ただし、

画像

2 逆DCTは、逆離散コサイン変換処理を表し、以下のとおり定義される。

画像

3 順方向とあるのは、順方向予測符号化(過去の画像情報を用いて動き補償予測を行うものをいう。)を示し、双方向とあるのは、双方向予測符号化(未来及び過去の画像情報を用いて動き補償予測を行うものをいう。)を示し、逆方向とあるのは、逆方向予測符号化(未来の画像情報を用いて動き補償予測を行うものをいう。)を示し、イントラとあるのは、イントラ符号化(動き補償予測を行なわず、現在の画像情報のみを使用するものをいう。)を示すこととする。

4 逆量子化及び可変長符号化は、ITU―T勧告H.262に従うものとする。なお、可変長符号化器の出力のデータの順番は、以下のいずれかによるものとする。

画像

5 動きベクトル検出は、マクロブロック単位に行うものとする。

6 符号化データは、ITU―T勧告H.262の映像ビットストリーム構文に従い生成するものとする。

別表第二号 符号化後の映像信号の構成

画像

1 ビデオシーケンスは、符号化を行う最上位の構文構造であり映像信号を構成する一連の画面を示すものとする。

2 GOPは、Iピクチャ(現在の画像情報のみを使用して符号化された画像をいう。)、Bピクチャ(現在、過去及び未来の画像情報を使用して符号化された画像をいう。)又はPピクチャ(現在及び過去の画像情報を使用して符号化された画像をいう。)により構成され、少なくとも1枚のIピクチャを含むものとする。

3 ピクチャは、1枚の画面を示すものとする。

4 スライスは、同一水平行に位置する任意の数のマクロブロックにより構成されるものとする。

5 マクロブロックは、16×16画素の輝度信号及び空間的に同じ場所に位置する8×8画素又は16×8画素の二つの色差信号により構成されるものとする。

別表第三号 デジタル放送の標準方式第二十四条の五第一項(第三十二条、第四十八条及び第八十一条第一項において準用する場合を含む。)に規定する映像信号の圧縮手順及び送出手順

画像

1 整数変換は、4×4画素及び8×8画素のブロックに対する整数精度の直交変換処理を示すものとする。

2 画面内予測は、現在の画像情報において符号化処理済みの隣接ブロックの画素を用いて予測を行う処理を示し、動き補償予測は、未来及び過去の複数の画像情報を用いてブロックサイズを可変とする動き補償予測を行う処理を示すものとする。

3 デブロッキングフィルタは、符号化に伴いブロックの境界に発生するノイズを低減する処理を示すものとする。

4 逆量子化、逆整数変換及びエントロピー符号化は、ITU―T勧告H.264に従うものとする。

5 動きベクトル検出は、4×4画素、4×8画素、8×4画素、8×8画素、8×16画素、16×8画素又は16×16画素単位に行うものとする。

6 符号化データは、ITU―T勧告H.264の映像ビットストリーム構文に従い生成するものとする。

別表第四号 デジタル放送の標準方式第六十二条第二項(第八十一条第一項及び第二項並びに第八十四条において準用する場合を含む。)に規定する映像信号の圧縮手順及び送出手順

画像

1 画面分割は、8×8画素、16×16画素、32×32画素又は64×64画素の正方形領域に分割する処理を示すものとする。

2 整数変換は、4×4画素、8×8画素、16×16画素又は32×32画素のブロックに対する整数精度の直交変換処理を示すものとする。

3 画面内予測は、現在の画像情報において符号化処理済みの隣接ブロックの画素を用いて予測を行う処理を示し、動き補償予測は、未来及び過去の複数の画像情報を用いてブロックサイズを可変とする動き補償予測を行う処理を示すものとする。

4 デブロッキングフィルタは、符号化に伴いブロックの境界に発生するノイズを低減する処理を示すものとする。

5 画素適応オフセットフィルタは、符号化に伴いブロックの内部に発生するノイズを低減する処理を示すものとする。

6 逆量子化、逆整数変換及びエントロピー符号化は、ITU―T勧告H.265に従うものとする。

7 動きベクトル検出は、4×8画素、4×16画素、8×4画素、8×8画素、8×16画素、8×32画素、12×16画素、16×4画素、16×8画素、16×12画素、16×16画素、16×32画素、16×64画素、24×32画素、32×8画素、32×16画素、32×24画素、32×32画素、32×64画素、48×64画素、64×16画素、64×32画素、64×48画素又は64×64画素のブロック単位に行うものとする。

8 符号化データは、ITU―T勧告H.265の映像ビットストリーム構文に従い生成するものとする。

別表第五号 デジタル放送の標準方式第五条第一項、第四十四条及び第六十四条第二項第一号(第八十一条の三及び第八十四条において準用する場合を含む。)に規定する音声信号の圧縮手順及び送出手順

(平26総省告367・一部改正)

画像

1 フィルタバンクは、デジタル音声入力信号を変形離散コサイン変換によって時間軸から周波数軸へ変換する処理を示し、入力信号の聴覚心理特性に応じて、変形離散コサイン変換への入力ブロックタイプ及び窓関数を選択することとする。

2 聴覚心理重み付け処理は、フィルタバンクへの入力信号に対応して、マスキング量(一の音声信号と他の音声信号を識別できる限界をいう。)及びフィルタバンクの入力ブロックタイプを算出する処理を示すものとする。

3 量子化及び符号化は、聴覚心理重み付け処理で計算されたマスキング量に基づき、フィルタバンクからの出力信号を各ブロックで使用できるトータルビット数を超えない範囲で量子化及び符号化し、量子化サンプルを出力する処理を示すものとする。

4 符号化ビットストリームのチャネルモードの最大値は、5チャネル及び低域を強調する1チャネルとする。ただし、デジタル放送の標準方式第5章第3節並びに第6章第4節及び第5節に定めるデジタル放送にあっては、その最大値を22チャネル及び低域を強調する2チャネルとする。

5 ビットストリームの構成は、ADTS形式については別記第1、LATM/LOAS形式については別記第2、その他の形式については別記第3のとおりとする。

別記第1 ADTSビットストリーム構成

画像

1 ADTS固定ヘッダは、同期及びISO/IEC 13818―7に規定される音声符号化情報により構成されるものとする。ただし、デジタル放送の標準方式第4章に定めるデジタル放送(以下この別表において「移動受信用地上基幹放送」という。)にあっては、同期並びにISO/IEC 13818―7、ISO/IEC 23003―1、ISO/IEC 14496―3、ISO/IEC 14496―3:2001/Amd 1及びISO/IEC 14496―3:2005/Amd 2:2006に規定される音声符号化情報により構成されるものとする。

2 ADTS可変ヘッダは、ISO/IEC 13818―7に規定される音声符号化情報により構成されるものとする。ただし、移動受信用地上基幹放送にあっては、ISO/IEC 13818―7、ISO/IEC 23003―1、ISO/IEC 14496―3、ISO/IEC 14496―3:2001/Amd 1及びISO/IEC 14496―3:2005/Amd 2:2006に規定される音声符号化情報により構成されるものとする。

3 ADTSエラーチェックは、エラー検出情報により構成されるものとする。

4 データストリームは、ISO/IEC 13818―7により符号化される音声データにより構成されるものとする。ただし、移動受信用地上基幹放送にあっては、ISO/IEC 13818―7、ISO/IEC 23003―1、ISO/IEC 14496―3、ISO/IEC 14496―3:2001/Amd 1及びISO/IEC 14496―3:2005/Amd 2:2006により符号化される音声データにより構成されるものとする。

5 シンタクティックエレメントIDは、後に続くシンタクティックエレメントの種類又はデータストリームの終了を示すものとする。

6 シンタクティックエレメントは、ISO/IEC 13818―7により符号化される音声データの各構成要素により構成されるものとし、ADTS可変ヘッダに記述された回数分繰り返されることとする。ただし、移動受信用地上基幹放送にあっては、ISO/IEC 13818―7、ISO/IEC 23003―1、ISO/IEC 14496―3、ISO/IEC 14496―3:2001/Amd 1及びISO/IEC 14496―3:2005/Amd 2:2006により符号化される音声データの各構成要素により構成され、ADTS可変ヘッダに記述された回数分繰り返されることとする。

別記第2 LATM/LOASビットストリーム構成

画像

1 LOASは、同期及びISO/IEC 14496―3に規定される音声符号化情報により構成されるものとする。

2 LATMヘッダは、ISO/IEC 14496―3に規定される音声符号化情報により構成されるものとする。

3 データストリームは、ISO/IEC 14496―3により符号化される音声データにより構成されるものとする。

4 シンタクティックエレメントIDは、後に続くシンタクティックエレメントの種類又はデータストリームの終了を示すものとする。

5 シンタクティックエレメントは、ISO/IEC 14496―3により符号化される音声データの各構成要素により構成されるものとし、LATMヘッダに記述された回数分繰り返されることとする。

別記第3 その他の形式のビットストリーム構成

画像

1 データストリームは、ISO/IEC 14496―3により符号化される音声データにより構成されるものとする。

2 シンタクティックエレメントIDは、後に続くシンタクティックエレメントの種類又はデータストリームの終了を示すものとする。

3 シンタクティックエレメントは、ISO/IEC 14496―3により符号化される音声データの各構成要素により構成される。

別表第六号 デジタル放送の標準方式第二十四条の七及び第六十四条第二項第二号(第八十一条の三及び第八十四条において準用する場合を含む。)に規定する音声信号の圧縮手順及び送出手順

(平26総省告367・一部改正)

画像

1 線形予測符号化は、デジタル音声入力信号を分析し、線形予測パラメタと予測残差を算出する処理を示すものとする。

2 パラメタ可変長符号は、線形予測パラメタを可変長符号化し、パラメタ符号を算出する処理を示すものとする。

3 残差可変長符号化は、予測残差(入力値と予測値の差分値をいう。)を可変長符号化し、残差符号を算出するものとする。

4 ビットストリームフォーマット生成は、パラメタ符号と残差符号を組み合わせ、別記のとおりの符号化ビットストリームを算出する処理を示すものとする。

別記 ビットストリーム構成

符号化情報

パラメタ符号(可変長符号)

残差符号(可変長符号)

注 符号化情報、パラメタ符号及び残差符号は、ISO/IEC 14496―3により規定されるオーディオロスレス符号化に従う。

別表第七号 デジタル放送の標準方式第七十二条に規定する音声信号の圧縮手順及び送出手順

画像

1 フィルタバンクは、時間軸から周波数軸への変換及び帯域分割処理を示すものとし、デジタル音声入力を32に帯域分割し、ISO/IEC 11172―3及びISO/IEC 13818―3の規定に基づき処理を行うものとする。

2 聴覚心理重み付け処理は、フィルタバンクの各帯域に対するマスキング量を算出する処理を示すものとする。

3 ビットアロケーションは、フィルタバンクから出力された各帯域の信号と聴覚心理重み付け処理で計算されたマスキング量に基づき、フレームで使用されるトータルビット数を超えない範囲で各サブバンド(32に帯域分割されたフィルタバンクの一をいう。以下同じ。)の量子化ビット数を決定する処理を示すものとする。量子化及び符号化は、ビットアロケーションにより決定された量子化ビット数によりフィルタバンクから出力された各帯域の信号を量子化及び符号化し、量子化サンプルを出力する処理を示すものとする。

4 符号化ビットストリームの構成は、別記第1のとおりとする。

5 符号化ビットストリームは、別記第2のチャネルモードによるものとする。

別記第1 符号化ビットストリーム構成

画像

1 MPEG―1ヘッダは、同期及びISO/IEC 11172―3に規定される音声符号化情報により構成されるものとする。

2 MPEG―1エラーチェックは、エラー検出情報により構成されるものとする。

3 MPEG―1オーディオデータは、ISO/IEC 11172―3により符号化される音声データにより構成されるものとする。

4 マルチチャネル拡張部分は、ISO/IEC 13818―3により符号化された音声データを拡張するデータにより構成されるものとする。

5 アロケーションは、サブバンドを符号化する順番を示す情報により構成されるものとする。

6 スケールファクタは、各サブバンド内の波形を正規化したときの倍率を示す情報により構成されるものとする。

7 サンプルコード及びサンプルは、符号化された音声データにより構成され、最大12グループまで繰り返されるものとする。ジョイントステレオモード使用時は、高い周波数の振幅成分のサンプルコード及びサンプルにより構成されるものとする。

別記第2 チャネルモード

チャネルモード

内容

ステレオ

立体感を与えるため、左側信号及び右側信号により符号化するもの

ジョイントステレオ

立体感を与えるものであって、音声の圧縮効率を高めるため、左側信号及び右側信号のうち高い周波数成分については振幅成分のみ符号化するもの、又は左側信号と右側信号の和信号及び差信号により符号化するもの

デュアルチャネル

独立した2つの音声を符号化するもの

シングルチャネル

1つの音声信号を符号化するもの

3前方/0後方チャネル

左側信号、右側信号及び中央信号により符号化するもの

2前方/1後方チャネル

左側信号、右側信号及びサラウンド信号(左後方信号及び右後方信号により生成される信号をいう。)により符号化するもの

デュアルステレオチャネル

第一番組の左側信号及び右側信号並びに第二番組の左側信号及び右側信号により符号化するもの

2前方/2後方チャネル

左側信号、右側信号、左後方信号及び右後方信号により符号化するもの

3前方/1後方チャネル

左側信号、右側信号、中央信号及びサラウンド信号により符号化するもの

3前方/0後方チャネル+ステレオ

第一番組の左側信号、右側信号及び中央信号並びに第二番組の左側信号及び右側信号により符号化するもの

3前方/2後方チャネル

左側信号、右側信号、中央信号、左後方信号及び右後方信号により符号化するもの

標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式第四条第一項等の規定に基づ...

平成26年7月3日 総務省告示第234号

(平成26年10月21日施行)

体系情報
第1編 法  令(令和5年1月1日現在)/第11章 情報通信/第3節 
沿革情報
平成26年7月3日 総務省告示第234号
平成26年10月21日 総務省告示第367号