○超短波音声多重放送及び超短波文字多重放送に関する送信の標準方式
(昭和六十三年四月十九日)
(郵政省令第二十五号)
電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第三十八条の規定に基づき、超短波音声多重放送及び超短波文字多重放送に関する送信の標準方式を定める。
超短波音声多重放送及び超短波文字多重放送に関する送信の標準方式
(目的)
第一条 この省令は、超短波音声多重放送及び超短波文字多重放送に関する送信の標準方式を定めることを目的とする。
(主搬送波の変調)
第二条 主搬送波の変調の型式は、周波数変調とする。
2 主搬送波を変調する信号は、多重副搬送波(音声信号又は文字信号を伝送するための副搬送波をいう。以下同じ。)とする。
(多重副搬送波)
第三条 多重副搬送波の周波数は、七六kHzとし、多重副搬送波の周波数とパイロツト信号(超短波放送のステレオホニツク放送の受信の補助のために伝送する信号をいう。以下同じ。)の周波数とは、相互に低調波と高調波の関係にあるものとする。
2 多重副搬送波は、パイロツト信号が時間軸と交わるとき、同時に正傾斜で時間軸と交わるものとする。
3 多重副搬送波の変調の型式は、固定受信用送信方式(専ら固定受信の用に供する超短波音声多重放送及び超短波文字多重放送に関する送信の方式をいう。以下同じ。)の場合にあつては、四相位相変調とし、移動受信用送信方式(超短波音声多重放送及び超短波文字多重放送に関する送信の方式であつて、固定受信用送信方式以外のものをいう。以下同じ。)の場合にあつては、振幅制御MSK(ステレオ音声信号の左側信号と右側信号との差の信号(ステレオ差信号という。以下同じ。)の振幅レベルによりMSK信号の振幅を制御する方式をいう。)とする。
4 多重副搬送波を変調する信号は、固定受信用送信方式の場合にあつては、別表第一号に示す回路によつて、移動受信用送信方式の場合にあつては、別表第一号の二に示す回路によつて非周期化された二値の符号系列とする。
5 多重副搬送波を変調する信号の伝送速度は、固定受信用送信方式の場合にあつては毎秒四八キロビツト、移動受信用送信方式の場合にあつては毎秒一六キロビツトとする。
6 固定受信用送信方式における多重副搬送波の相対位相偏移は、変調する信号の時系列順に表した連続する符号が「〇〇」のとき〇度、「一〇」のとき(+)九〇度、「〇一」のとき(−)九〇度及び「一一」のとき(+)一八〇度とする。
7 移動受信用送信方式における多重副搬送波の周波数は、変調信号を差動符号化する前の「一」に対して八〇kHz、「〇」に対して七二kHzとする。
8 固定受信用送信方式における多重副搬送波の最大振幅によつて生じる主搬送波の周波数偏移は、多重副搬送波を変調する信号の時系列順に表した連続する符号が「一」の連続であるとき、(±)三kHzとする。
9 移動受信用送信方式における主搬送波の最大周波数偏移は、ステレオ差信号の瞬時周波数偏移が一・八七五kHz以下のとき(±)三kHzとし、ステレオ差信号の瞬時周波数偏移が三・七五kHz以上のとき(±)七・五kHzとし、その間は線形に変化するものとする。
10 固定受信用送信方式における多重副搬送波のスペクトルは、別表第二号に示す特性を有するものとする。
(平六郵令三〇・一部改正)
(符号系列)
第四条 固定受信用送信方式における符号系列は、次の各号の条件によるものとする。
一 別表第一号に示す回路に入力される信号は、フレーム(三十四行二百七十三列の行列(以下「フレーム行列」という。)として構成される九、二八二ビツトの符号系列をいう。)の集まりであること。
二 符号化された音声信号のフレーム行列への書き込みは、別表第三号に示すところによるものであること。
三 文字信号のフレーム行列への書き込みは、第一行から第二十三行において、各行の第百八十四列から順に第百九十一列まで行番号順に行い、次に第二十四行第百八十四列から同行第百八十九列まで行うものであること。
四 フレーム行列からの符号の読み出しは、第一列の第一行から順に第三十四行まで行番号順に行い、次に別表第四号に示す順序で行うものであること。
五 フレーム行列の構成は、総務大臣が別に告示するところによるものであること。
2 移動受信用送信方式における符号系列は、次の各号の条件によるものとする。
一 別表第一号の二に示す回路に入力される信号は、二八八ビツトの符号系列であること。
二 前号に規定する符号系列の構成は、総務大臣が別に告示するところによるものであること。
(平六郵令三〇・全改、平一二郵令六〇・一部改正)
(その他)
第五条 超短波音声多重放送に関する送信の標準方式は、第二条から前条までの規定によるほか、次のとおりとする。
一 音声信号の最高周波数は、三・四kHzとする。
二 音声信号は、二〇〇マイクロ秒の時定数を有するインピーダンス周波数特性の回路によりプレエンフアシスを行うものとする。
三 音声信号の標本化周波数は、八kHzとする。
四 音声信号の送出手順は、総務大臣が別に告示するところによるものとする。
(平一二郵令六〇・一部改正)
第六条 超短波文字多重放送に関する送信の標準方式は、第二条から第四条までの規定によるほか、文字信号の送出に関する詳細事項について総務大臣が別に告示するところによるものとする。
(平一二郵令六〇・一部改正)
(スクランブル等)
第七条 超短波文字多重放送において有料放送(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第五十二条の四第一項に規定する有料放送をいう。以下同じ。)を行う場合であって、文字信号にスクランブル(国内受信者(放送法第五十二条の四第一項に規定する国内受信者をいう。)が設置する受信装置によらなければ受信することができないようにするために、信号波を電気的にかくはんすることをいう。以下同じ。)を行う場合にあっては、次の各号によるものとする。
一 スクランブルを行う範囲については、総務大臣が別に告示するところによるものであること。
二 関連情報(標準テレビジョン放送に関する送信の標準方式(平成三年郵政省令第三十六号)第十八条第一項第三号に規定する関連情報をいう。)を当該有料放送の電波に重畳する場合の送出手順は、総務大臣が別に告示するところによるものであること。
(平八郵令五・追加、平一二郵令六〇・一部改正)
(緊急警報信号に適用する規定)
第八条 超短波音声多重放送により緊急警報信号を送る場合には、緊急警報信号を音声信号とみなし、この省令の音声信号に関する規定(第五条第一号を除く。)を適用する。
(平八郵令五・旧第七条繰下)
附 則
この省令は、公布の日から施行する。
附 則 (平成六年四月二八日郵政省令第三〇号)
この省令は、公布の日から施行する。
附 則 (平成八年一月三一日郵政省令第五号)
この省令は、公布の日から施行する。
附 則 (平成一二年九月二七日郵政省令第六〇号) 抄
(施行期日)
第一条 この省令は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から施行する。

別表第一号(第3条第4項関係)
イメージ

別表第一号の二(第3条第4項関係)
(平6郵令30・追加)
イメージ

別表第二号(第3条第10項関係)
(平8郵令5・一部改正)
周波数(kHz)
スペクトルの相対振幅
−0.7fc<f≦0.7fc
1
−1.3fc<f≦−0.7fc
 0.7fc<f≦ 1.3fc
cos((│f│−0.7fc)π/1.2fc)
f≦−1.3fc
f> 1.3fc
0
1 fは、多重副搬送波周波数からの差の周波数とする。
2 fCは、遮断周波数を表し、多重副搬送波を変調する信号の伝送速度の4分の1とする。
3 πは、円周率を表す。

別表第三号(第4条第1項関係)
(平8郵令5・一部改正)
1 フレーム行列の第2列から第181列までの符号を4列毎及び1行毎の4ビツト単位に分割並びに第182列及び第183列の符号を2行毎の4ビツト単位に分割し、フレーム行列の第2列から第183列を4ビット単位の1547語に分割する。
2 符号化された音声信号1語の構成は、次に示すとおりとする。
イメージ
3 次に示す番号順に符号化された音声信号をフレーム行列の第2列から第183列に書き込むものとする。
イメージ

別表第四号(第4条第1項関係)
(平8郵令5・一部改正)
フレーム行列から第一列を除いた34行272列の行列の第r行第s列の符号をArsとしたとき、次に示す順序で読み出すものとする。
jが1の時 Am8(m−1)+k
jが1でないときでmが1から(35−j)のとき Am8{m+(j−2)}+k
jが1でないときでmが(36−j)から34のとき Am8{m−(36−j)}+k
1 jは、1から順に34まで増加させるものとする。
2 kは、jのそれぞれの値に対して1から順に8まで増加させるものとする。
3 mは、kのそれぞれの値に対して1から順に34まで増加させるものとする。