アマチュア無線の社会貢献活動での活用に係る基本的な考え方
本資料は、あくまでも現時点での一般的な考え方等を示すものであり、個別事案に対する考え方等は、当該事案における事実関係を前提にし、事案ごとに法令の趣旨を踏まえて実質的に判断されるものであることに御留意ください。
本資料における記載は、すべてを網羅的に記載したものではなく、将来における総務省の考え方等や解釈を保証するものではありません。
また、必要に応じて、随時更新することとしています。
制度の趣旨について
アマチュア無線が社会貢献活動等で活用できるようになりますが、制度改正の概要を教えてください。
非常災害時等のボランティア活動や、国や地方公共団体等の施策で共助を背景とする地域における活動等について、アマチュア無線を身近なくらしの中で活用できるよう、アマチュア無線の定義を明確化しました。
これにより、アマチュア無線を社会貢献活動等で活用できることが明確化されました。
アマチュア無線局免許人の皆様のアマチュア無線の積極的な活用が、その地位向上につながり、地域社会に貢献することが期待されております。
(令和3年3月10日公布・施行)
これまでのアマチュア無線による「非常通信」が変わるのでしょうか。
非常通信の制度に変更はありません。
非常通信(電波法第52条第4号)は、総務省「アマチュア局による非常通信の考え方」のとおり、非常通信に該当するかどうかは免許人の判断により柔軟に行えることとしておりますが、非常通信の性格から有線通信(携帯電話等も含む。)を利用することが著しく困難であるときなどの制約がありました。
今般、社会貢献活動等によるアマチュア無線の活用ができることとなったことから、非常通信であるかどうかにかかわらず、非常災害時(事前・直前準備、訓練含む。)から災害復旧時まで、継ぎ目のない支援がアマチュア無線により行うことが可能となりました。これにより、防災ボランティア活動によるアマチュア無線の活用がよりいっそう進むことが期待されております。
アマチュア無線の社会貢献活動等の範囲内の運用であれば、非常通信の報告(電波法第80条第1項)についても不要となります。
※総務省電波利用ホームページ「アマチュア局による非常通信の考え方」
社会貢献活動等について
本制度の社会貢献活動等とは、どのような活動でしょうか。
一般に、ボランティア活動をはじめとする不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動をいいます。(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)の「特定非営利活動」等)
なお、企業等の営利法人等の営利活動のためのアマチュア無線の使用は、認められておりません。また一般に、企業等の営利法人等の営利活動を通しての結果的な社会貢献は、本制度の社会貢献活動等には当たらず、アマチュア無線の使用は認められておりません。
※活動事例を参考にしてください。
(本制度の社会貢献活動等に該当する例)
(〇)当社は、社会貢献活動等として地域の清掃活動を行っており、当社の従業員が当該活動でアマチュア無線を使用する。
(〇)当町内会は、社会貢献活動等として地域の清掃活動を行っており、当町内会員が当該活動でアマチュア無線を使用する。
(注)アマチュア業務の範囲については、個々の案件ごとに、反復・継続性、営利性、組織的利用、通信内容などについて総合的に判断し、対応しております。
本制度の社会貢献活動等に該当しない活動には、どのようなものがあるでしょうか。
公共事業や復興事業であれば、企業等の営利法人等の営利活動のために行う通信であっても、アマチュア無線の使用が認められるでしょうか。
アマチュア無線は仕事(企業等の営利法人等の営利活動)に使うことはできません。
公共事業や復興事業であっても、企業等の営利法人等の営利活動のためにアマチュア無線を使用することは認められません。また、社会貢献活動等を自称したとしても、企業等の営利法人等の営利活動であれば、アマチュア無線を使用することは認められません。
参考:アマチュア無線は仕事に使えません!
(本制度の社会貢献活動等に該当しない例)
(×)当社は、企業活動(企業等の営利法人等の営利活動)により社会貢献を行っており、当該活動でアマチュア無線を使用する。(※設問3.参照)
(×)当社は、企業活動(企業等の営利法人等の営利活動)として自治体から受注した公共工事において、アマチュア無線を使用する。
(×)当社の主催する地域イベント(企業活動(企業等の営利法人等の営利活動))において、当社職員が当該活動でアマチュア無線を使用する。
(注)アマチュア業務の範囲については、個々の案件ごとに、反復・継続性、営利性、組織的利用、通信内容などについて総合的に判断し、対応しております。
アマチュア無線局免許人は、社会貢献活動等をすることを強制されるのでしょうか。
アマチュア無線の定義では「もつぱら個人的な無線技術の興味よつて行う」とされています。
アマチュア無線局免許人に、社会貢献活動等を強制するものではありません。
本制度の社会貢献活動等によるアマチュア無線の使用は、いずれもアマチュア無線局免許人個人が、その意思により「個人的な興味」によって自発的にその活動に参加し無線通信を行うものです。
アマチュア無線の使用にあたって
アマチュア無線を使用するために必要な資格はありますか。
アマチュア無線を使用するためには、①アマチュア無線従事者免許、②アマチュア無線局免許が必要です。
なお、アマチュア無線局は、個人又はアマチュア業務の健全な普及発達を図ることを目的とする社団※でなければ、免許人となることができません。
※「無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準」第6条の2参照
アマチュア無線を社会貢献活動等で使用する場合に、総務省(総合通信局等)への申請や届出等の手続は必要ですか。
また、社会貢献活動等に参加する場合に、自治体やイベント主催者等との協定や合意等が義務付けられているのでしょうか。
既にアマチュア無線局を開局されている方であれば、総務省(総合通信局等)への手続は必要ありません。無線従事者資格、無線局免許状の範囲で御活用ください。
また、電波法令上の義務はありませんが、防災ボランティアや地域イベント等の社会貢献活動等に参加する場合は、あらかじめ自治体やイベント主催者等との協定や合意等の上での参加が想定されます。
社会貢献活動等によるアマチュア無線の使用にあたり、どのようなルールがあるでしょうか。
社会貢献活動等に使用する場合であっても、アマチュア無線に係る法令を遵守してください。電波法令に違反すると、罰則があります。(以下の「代表的なルールの例」を参照。)
アマチュア無線は、多数の人が同じ周波数を共同で利用しています。その通信には秘匿性がなく、他のアマチュア無線局にも聞かれている場合があります。
なお、社会貢献活動等によるアマチュア無線の使用が、他のアマチュア無線の使用に優先されるなど、アマチュア無線同士での通信の優先順位はありません。
- アマチュア無線を使用するためには、無線従事者免許と無線局免許が必要です。
- コールサイン(呼出符号)は必ず言いましょう。
- 周波数の使用区別(バンドプラン)を守りましょう。
- 他のアマチュア無線局の利用を妨げないように心がけましょう。
- 無線局免許状の範囲で運用しましょう。
社会貢献活動等を行うために使用する無線は、アマチュア無線に限られることになるのでしょうか。
社会貢献活動等を行う通信として、アマチュア無線を使用させる・推奨するというものではなく、無線システムの選択肢の一つとしてアマチュア無線も使用することができることとなっております。(このため、アマチュア無線を使用しない、業務用無線を主としアマチュア無線を補助的に使用するなど、様々な対応が考えられます。)
社会貢献活動等を行う通信として推奨される無線システムはありますか。
社会貢献活動等を行う通信として、業務用無線、簡易無線、特定小電力無線、アマチュア無線等のいずれを選択するかは、無線システムそれぞれの特徴や利用ニーズなどを踏まえて、利用者が適切に判断されるものと考えております。
一般には、デジタル簡易無線(登録局)の利用が便利です。
(無線局の登録申請及び開設の届出が必要ですが、無線従事者免許が不要で、通信の際の識別信号の送出が自動で行われるなど運用に制約が少ない無線システムです。)
実際の活動にあたって
社会貢献活動等によるアマチュア無線の使用において「金銭上の利益のためでなく」とは、無償で行うものをいうのでしょうか。
必ずしも無償でなければならないというものではありません。
社会貢献活動等によるアマチュア無線の使用は、個人が活動の対価として受領する金品の額が当該活動に必要な「実費に相当する額」の範囲内であれば「金銭上の利益」には当たりません。(いわゆる「有償ボランティア」もアマチュア業務として認められます。)
なお、国又は地方公共団体等が実施する事業に係る地域活動(告示第2号)については、「実費に相当する額」を超えても、それが制度上又は施策上の仕組みの結果としてのものであれば、アマチュア業務に含まれることとしています。
NPO法人等の非営利法人等の職員等が、当該法人の事業のためにアマチュア無線を使用することはできますか。
総務大臣が定める告示の社会貢献活動等に適合する場合は、使用することができます。
(アマチュア無線に関する法令を遵守する必要があります。「アマチュア無線の使用にあたって」参照。)
NPO法人等がアマチュア無線局の免許人となることはできません。
※「無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準」第6条の2参照
国又は地方公共団体等の公務員が、国又は地方公共団体等が実施する事業に係る地域活動のためにアマチュア無線を使用することはできますか。
総務大臣が定める告示の社会貢献活動等に適合する場合は、使用することができます。
(国又は地方公共団体等が実施する事業のすべてに使用できるものではありません。)(アマチュア無線に関する法令を遵守する必要があります。「アマチュア無線の使用にあたって」参照。)
国又は地方公共団体等がアマチュア無線局の免許人となることはできません。
※「無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準」第6条の2参照
イベントの主催者や業務請負者が営利法人等である場合に、アマチュア無線を使用することができますか。
当該営利法人等の営利活動のためにアマチュア無線を使用することはできません。
なお、イベントの主催者が非営利法人等であり、当該イベントの運営を営利法人等が請け負う場合については、当該営利法人等の営利活動のためにアマチュア無線を使用しないのであれば、使用が認められる場合があります。
(アマチュア無線に関する法令を遵守する必要があります。「アマチュア無線の使用にあたって」参照。)
消防団が行う活動や鳥獣被害対策事業等の活動に関する通信として、アマチュア無線を使用することはできますか。以前、総務省からはアマチュア無線の使用はできないと説明がありましたが、考え方に変更があったのでしょうか。
今般、アマチュア無線による社会貢献活動等の活用について定義を明確化したことに伴い、これらの活動に関する通信についても総務大臣が定める告示の社会貢献活動等に適合する場合は、アマチュア無線の使用が認められることとなりました。
(アマチュア無線に関する法令を遵守する必要があります。「アマチュア無線の使用にあたって」参照。)
また、デジタル簡易無線(登録局)の利用が便利です。
(無線局の登録申請及び開設の届出が必要ですが、無線従事者免許が不要で、通信の際の識別信号の送出が自動で行われるなど運用に制約が少ない無線システムです。)
電波法令違反等の対応について
本制度に関係して電波法令に違反して運用する無線局を確認しましたが、どうすればよいですか。
日時、周波数、コールサイン(呼出符号)、通信内容、おおよその場所その他参考となる情報を付して、総合通信局等に御報告ください。個々の案件ごとに、反復・継続性、営利性、組織的利用、通信内容等から総合的に判断し、必要に応じた対応を行います。
(参照)電波法第80条第2号
アマチュア無線関係団体の取組みについて
アマチュア無線関係団体は、どのような取組みをされていますか。
一般社団法人日本アマチュア無線連盟、一般財団法人日本アマチュア無線振興協会におきましても、アマチュア無線の社会貢献活動での活用について積極的に周知広報に取り組まれております。
本改正にあわせて、今後、一般社団法人日本アマチュア無線連盟からは「アマチュア局の非常通信マニュアル」と同様のアマチュア無線の社会貢献活動等を行う際の運用ガイドライン等の作成、一般財団法人日本アマチュア無線振興協会からはアマチュア無線初心者向け・ボランティア活動者向けのアマチュア無線運用者セミナー等の実施、また両団体により積極的な周知広報に取り組まれると伺っております。
アマチュア無線で社会貢献活動をするときに参考になるものはありますか。
一般社団法人日本アマチュア無線連盟がガイドラインやマニュアルを策定しておりますので、下記のリンクからご覧ください。