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WRC-23の議題及び結果概要

1.開催日程、場所

2023年11月20日~12月15日、アラブ首長国連邦(ドバイ)

2.出席者

約163カ国から約3,900名が参加。我が国からは、総務省・民間事業者・研究機関などから約130名が参加。

3.議題

議題1. 1 4800-4990 MHzにおける国際空域及び公海における航空、海上業務無線局の保護の検討と脚注5.441Bのpfd要件の見直し
議題1. 2 3300-3400 MHz、3600-3800 MHz、6425-7025 MHz、7025-7125 MHz及び10.0-10.5 GHz帯における移動業務への一次分配を含むIMT特定の検討
議題1. 3 第一地域における3600-3800 MHzの移動業務への一次分配の検討
議題1. 4 2.7GHz以下のIMT特定された周波数帯におけるIMT基地局としての高高度プラットフォームステーション(HIBS) 利用の検討
議題1. 5 第一地域における470-960 MHz帯の既存業務の周波数利用と周波数需要の見直しとこれに基づく規則条項の検討
議題1. 6 準軌道飛行体の無線通信のための規制条項の検討
議題1. 7 117.975-137 MHzにおける地球から宇宙及び宇宙から地球の双方向への航空移動衛星業務(AMS(R)S)への新規分配の検討
議題1. 8 無人航空システムの制御及び非ペイロード通信による固定衛星業務の利用のための決議155(WRC-15改)及びRR 5.484Bの見直しと適切な規則条項の検討
議題1. 9 航空移動業務に割り当てられたHF帯における民間航空の人命保護のためのデジタル技術の導入とアナログシステムとの共用のためのRR付録27の見直しと規制条項の検討
議題1. 10 非人命保護用途の航空移動アプリケーションのための航空移動業務への新規分配のための研究の実施
議題1. 11 海上における遭難及び安全に関する世界的な制度(GMDSS)近代化及びe-navigation実施のための規則条項の検討
議題1. 12 45 MHz帯衛星搭載レーダーサウンダーのための地球探査衛星業務(能動)への新規二次分配のための検討の実施
議題1. 13 14.8-15.35 GHz帯に二次分配されている宇宙探査業務の一次分配への格上げの検討
議題1. 14 現代のリモートセンシング観測の要求に則った231.5-252 GHz帯における地球探査衛星業務 (受動)に係る既存分配の見直しと新規分配の検討
議題1. 15 固定衛星業務の静止軌道衛星局と通信する航空機及び船舶上の地球局による12.75-13.25 GHz帯(地球から宇宙)の利用の調和
議題1. 16 非静止軌道における固定衛星業務の移動する地球局による17.7-18.6GHz、18.8-19.3 GHz及び19.7-20.2 GHz(↓)並びに27.5-29.1 GHz及び29.5-30 GHz(↑)の使用のための研究及び技術・運用・規則面の手段の検討
議題1. 17 特定帯域における衛星間リンクの規則に対する衛星間業務への分配追加による適切な規則条項の決定と実施
議題1. 18 狭帯域移動衛星システムの発展のための移動衛星業務の周波数需要及び新規分配の検討
議題1. 19 第二地域における17.3-17.7 GHz帯の宇宙から地球方向の固定衛星業務への新規一次分配の検討
議題2 無線通信規則に参照による引用をされたITU-R勧告の参照の現行化
議題4 決議・勧告の見直し
議題7 衛星ネットワークに係る周波数割当のための事前公表手続、調整手続、通告手続及び登録手続の見直し
議題8 脚注からの自国の国名削除
議題9 無線通信局長の報告
議題9. 1 WRC-15以降のITU-R関連活動に関する無線通信局長報告を検討して承認すること
課題a) RRにおける適切な認知と保護という観点での宇宙天気センサに関する技術、運用面の特徴、周波数要求、適切な無線業務の研究の見直し
課題b) 同一の周波数で運用されている無線航行衛星業務(宇宙から地球)の保護を確実にするための追加的手段の必要性の決定のための1240-1300 MHz帯のアマチュア業務及びアマチュア衛星業務の見直し
課題c) 固定業務に一次分配された周波数帯での固定ワイヤレスブロードバンドのためのIMTシステムの利用の研究
課題d) 36-37 GHzにおけるNGSO宇宙局からのEESS保護
議題9. 2 RR適用上の矛盾及び困難に応じた措置に関する検討
議題9. 3 決議80(WRC-07改定)の規定に応じた措置に関する検討
議題10 将来の世界無線通信会議の議題

4.主な結果

(1)NTN(非地上系ネットワーク)実現のための周波数確保

  1. 高高度プラットフォーム(HAPS)の携帯電話用基地局としての利用

    高度20km前後の成層圏を飛行する高高度プラットフォーム(HAPS)に携帯電話用基地局を搭載して利用することで、山間部や海上等を含めたカバレッジの拡大及び大規模災害時の迅速な通信の復旧が期待されており、利用可能な周波数の拡大について我が国からの提案に基づき検討が行われた。
    この結果、検討した4つの帯域のうち、1.7GHz帯、2GHz帯及び2.6GHz帯については、全世界で、700MHz帯については、我が国を含めた多数の国において、HAPSの携帯電話用基地局としての利用が可能となる決定が行われた。

  2. 携帯電話と衛星の直接通信のための周波数分配に関する検討の開始

    地上のIMTネットワークを衛星通信によって補完することで、携帯電話が使用できるエリアを拡大するとともに、非常時等におけるネットワークの冗長性が確保できるよう、IMT用として特定されている694/698MHz-2.7GHz帯の周波数を新たに衛星移動業務にも分配し、一般の携帯電話から衛星通信(携帯電話と衛星の直接通信)を利用可能とするための検討を開始することが、我が国からの提案等に基づき決議。
    我が国は、次回の2027年世界無線通信会議(WRC-27)に向け、本決議を踏まえて技術的な検討を進め、提案国としてITUにおける議論に積極的に貢献する等、必要な措置を講じていく予定。

(2)5G・Beyond 5Gに向けた新規周波数の分配

第5世代移動通信システム(5G)・Beyond 5G(6G)等で使用することができる周波数の拡大に向けた検討が行われ、我が国が支持していた6,425-7,025MHz(欧州・中東・アフリカ等向け)、7,025-7,125MHz(欧州・中東・アフリカ・アジア等向け)について分配が合意。
さらに、WRC-27に向けた追加的な分配を検討する周波数として、我が国から提案した周波数を含めた、4,400-4,800MHz、7,125-8,400MHz及び14.8-15.35GHzが合意。

(3)日本国内における既存業務保護のための対応

他国が推進する議題のうち、我が国の既存業務に影響を与えうるものについて、適切に保護するための提案を我が国から行い、以下のとおり我が国の意見を反映した内容で合意。

  • Ø携帯電話用周波数の6,425-7,025MHzのアジア地域への分配について、我が国の地上業務に対して影響の大きい国への分配を除外した形で合意
  • Ø14.8-15.35 GHz帯の宇宙研究業務への1次分配格上げについて、我が国の地上業務に対して影響の大きい地球-宇宙間の通信を2次業務扱いとすることで合意
  • Ø非静止衛星から静止衛星への干渉保護基準の見直しをWRC-27の議題とする提案について、議題化をしないことで合意   等

(4)将来の世界無線通信会議の議題

その他、我が国の関心の高い議題として、以下の議題を将来の世界無線通信会議の議題とすることに合意。

  • Ø月面・月周回軌道での周波数分配(WRC-27)
  • Ø宇宙天気センサ用周波数分配(WRC-27)
  • ØWPT(無線電力伝送)の周波数の検討(WRC-31)
  • Øテラヘルツ帯(275-325GHz)の周波数分配の拡大(WRC-31)
  • ØVHF帯等海上無線通信の高度化(WRC-31)  等
担当:総合通信基盤局電波部電波政策課国際周波数政策室