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小電力データ通信システム(無線LAN等)

1 制度の案内

1.1小電力データ通信システムとは

小電力データ通信システムは、主としてデータ伝送のために無線通信を行う機器であり、電波法第4条による無線局を開設しようとする際の免許が不要な無線局です。
電波法令に定める技術基準を満たす機器(技術基準適合証明等が表示されたもの)であれば誰でも無線従事者資格や無線局免許を取得せずに使用できます。
小電力データ通信システムには様々な無線システムが含まれており、主に無線LAN(2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯)やBluetoothブルートゥース(2.4GHz帯)等が対象となっています。それらは、PCやスマートフォン、家電、産業機器等に搭載され、広く一般に普及し今後も利用が一層拡大することが予想されています。

1.2無線LAN等の使用の留意事項

無線LANやBluetooth(以下「無線LAN等」という。)の機器を使用するためには、次の条件に適合している必要があります。

 技術基準に適合していること

無線LAN等の機器を使用するためには、電波法令に定める技術基準に適合している必要があります。それら機器は認証を受け、電波法令で定める表示(技適マーク)が付されています。技適マークのない機器は日本国内で使用することはできません。

技術基準適合証明等を受けた機器は総務省ホームページで検索して確認することができます。
なお、製造事業者等が技術基準適合証明等を取得する方法は、制度の概要(登録証明機関一覧)をご参照ください。

 利用できる周波数と場所

無線LAN等の機器が使用している周波数は、他の無線システム(例えば、5GHz帯では気象レーダー等)と周波数を共用しています。そのため、5GHz帯の無線LANの機器を使用する場合などは、他の無線システムの運用に支障を与えないよう、周波数帯によって使用できる場所が異なっています。それぞれの周波数帯での技術基準は、ページ下部の3 技術基準に掲載しています。
使用する機器がどの周波数帯を使用しているかは、お使いの機器の取扱説明書等をご確認いただくか、メーカや販売事業者にご確認ください。

※列車内、船舶内及び航空機内は、「屋内」と同等として使用可能。自動車内は、「屋外」扱い。なお「上空」は一般的に地面の上方の空間をいい、ドローンなどの飛行体での使用が該当します。

無線LANの屋外利用の詳細については、無線LANの屋外利用についても合わせてご確認下さい。また、上空での使用にあたっては電波法令に加え、航空法等の規定に従ってください。

2 無線LAN等のシステムの概要

2.1無線LAN(Wi-Fiワイファイ)の概要

無線LANは、ネットワークの構築が容易であるなどの利点から、有線のネットワークを無線化する位置付けでパソコン等に搭載され普及してきました。近年では、スマートフォンやタブレット等に標準搭載され、簡易かつ安価な通信インフラとして身近なものになっています。スマートフォンが普及し、自宅やオフィスの無線LAN環境や公衆無線LANの整備も進んだことで、国民生活に必要不可欠な通信インフラとなっています。
無線LANの規格はIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子学会)で標準化され、世界で幅広く利用されています。IEEE規格による無線LAN機器のうち、無線LANの普及促進を行う業界団体(Wi-Fi Alliance)により異なるメーカ間の機器の相互接続の認定を受けたものはWi-Fiワイファイと呼ばれており、無線LAN全般を指してWi-Fiと呼ばれることも増えてきました。
無線LANは2.4GHz帯、5GHz帯及び6GHz帯の周波数を使用しており、いずれも他の無線システムと周波数共用して運用することを前提に利用(諸外国もほぼ同周波数帯を使用)しています。

2.2Bluetoothの概要

Bluetoothは2.4GHz帯を使用する国際的な無線規格で、業界団体(Bluetooth SIG)において規格化がされています。主にワイヤレススピーカー、ヘッドホンなどのワイヤレスオーディオストリーミング用途に使用されています。
Bluetooth Classic又はBluetooth BR/EDRと呼ばれる規格と、Bluetooth Low Energy、Bluetooth LE又はBLEと呼ばれる規格に分けられ、適用される技術基準が異なります。

3 技術基準

3.1無線LAN等の周波数帯

無線LAN等には、次の周波数帯が割り当てられています。

  1. 2.4GHz帯(2400~2483.5MHz)
  2. 2.4GHz帯(2471~2497MHz)※日本専用帯域
  3. 5GHz帯(5.2GHz帯:5150MHz~5250MHz、5.3GHz帯:5250MHz~5350MHz、5.6GHz帯:5470~5730MHz)
  4. 6GHz帯(5925MHz~6425MHz)

いずれの帯域も下図で示すように他の無線システムと周波数を共用しており、他の無線システムに有害な混信を与えないよう、それぞれの周波数帯ごとに技術基準が定められています。

3.2主な技術基準の比較表

2.4GHz帯 5GHz帯 6GHz帯
周波数 2400~
2483.5MHz
2471~
2497MHz
5150~
5250MHz
(5.2GHz帯)
5250~
5350MHz
(5.3GHz帯)
5470~
5730MHz
(5.6GHz帯)
5925~
6425MHz
占有周波数帯幅 26/40MHz 26MHz 20/40/80/160MHz注1 20/40/80/160MHz 20/40/80/160/320MHz
チャネル数 3/1ch注2 1ch 4/2/1/1ch 4/2/1/1ch 12/6/3/1ch 24/12/6/3/2ch
空中線電力注3 無線LAN
260mW/200mW
その他
10mW
260mW 屋内
200mW
自動車内
40mW
200mW 200mW
(e.i.r.p.)1W
屋内(LPI)
(e.i.r.p.)200mW
屋外(VLP)
(e.i.r.p.)25mW
DFS 不要 不要 不要 必要 必要 不要
運用場所の制限 屋内及び屋外(上空利用できます) 屋内及び屋外(上空利用できます) 屋内及び自動車内注4 屋内のみ注5 屋内及び屋外(ただし、上空利用は除く。) LPI:屋内のみ注5
VLP:屋内及び屋外(ただし、上空利用は除く。)
  1. 注1:
    160MHz幅チャネルは5.2GHz帯、5.3GHz帯の両帯域をまたがっての使用となります。
  2. 注2:
    1~13chのうち、他のチャネルと周波数が重複しないチャネルを選択する場合のチャネル数
  3. 注3:
    占有周波数帯幅に応じて規定されています。
  4. 注4:
    自動車内専用の機器及びそれに接続する端末に限り、自動車内で使用できます(二輪車では使用できません。)。なお屋内は、列車内、船舶内、航空機内を含みます。
  5. 注5:
    屋内は、列車内、船舶内、航空機内を含み、自動車内は含まれません。

3.3その他の技術基準

3.3.12.4GHz帯

2.4GHz帯の無線LAN等は、次の条件を満たす機器を使用する必要があります。

 使用可能場所

使用可能な場所に特段の制約はありません。屋内、屋外、上空ともに使用可能です。

 技術基準に関する法令
  • 無線設備規則リンク先コンテンツを別ウィンドウで開きます
    第5条、第6条、第7条、第9条の4、第24条、第49条の20第1号及び第2号※、別表第1号、別表第2号、別表第3号
    ※第49条の20第1号:2400~2483.5MHz(グローバル帯域)
    ※第49条の20第2号:2471~2497MHz(日本専用帯域)

3.3.25GHz帯(5.2GHz帯自動車内無線LANシステムを除く)

5GHz帯(自動車内に設置する5.2GHz帯の無線LAN機器の親局を除く。)の無線LANは、次の条件を満たす機器を使用する必要があります。

 使用可能場所

5GHz帯のうち5.2GHz帯及び5.3GHz帯は屋内限定です。5.6GHz帯は屋外で使用できます。また、5GHz帯(5.2GHz帯、5.3GHz帯、5.6GHz帯)を上空で使用することはできません。

 技術基準に関する法令

3.3.35.2GHz帯自動車内無線LANシステム

自動車内に設置する5.2GHz帯の無線LAN機器の親局は、次の条件を満たす機器を使用する必要があります。なお、本項の5.2GHz帯自動車内無線LANシステムの親局に接続する端末については、3.3.3の5GHz帯無線LANの技術基準による無線機器が使用可能です。

 使用可能場所

自動車(道路交通法(昭和三十五年法律第105号)第2条第1項第9号に規定する自動車であって同法第3条の大型自動二輪車及び普通自動二輪車以外のものをいう。)内に限ります。

 技術基準に関する法令

3.3.46GHz帯

6GHz帯の無線LANは、次の条件を満たす機器を使用する必要があります。

 使用可能場所

6GHz帯は、屋内使用限定のLPI (Low Power Indoor)と屋外使用可能なVLP (Very Low Power)の2つの電力モードがあります。
屋外使用する場合は、お使いの機器の電力モードをご確認の上ご使用ください。

 LPI(Low Power Indoor)について

LPI(Low Power Indoor)モードは送信電力がe.i.r.p. 200mW相当のもので、での利用が可能で、屋内(列車内、船舶内及び航空機内を含みます。)においてのみ運用可能です。屋外での使用を防止するため、親局(アクセスポイント)は、電源や構造に関する技術的条件が定められています。

 VLP(Very Low Power)について

VLP(Very Low Power)モードは、LPIモードよりも送信電力が小さいe.i.r.p. 25mW相当のものです。屋外において使用できますが、上空では使用できません。

 子局間通信について

屋内に設置されたLPIモードの親局からの信号強度がしきい値以上であるなどの条件を満たすことにより、LPI端末間通信(子局間通信)が利用可能です。このことにより2.4GHz帯のように6GHz帯においても子局間通信が可能となり、アクセスポイントを介さないことから、より低遅延な通信や周波数の有効利用が実現可能となるなど利便性の向上につながります。
LPI端末間通信ができる機器は、LPI親局のカバレッジ外で電波が発射しないよう、LPI子局の技術基準に加えて、次の技術基準に適合している機器に限られます。

  • 受信するLPI親局の信号強度が-95 dBm/MHz以上のときのみ端末間通信機能が動作すること。
  • 親局の信号強度の確認頻度は、少なくとも4秒に1回に確認すること。

なお、VLP端末間通信は、特に技術的条件がなく、屋外でも利用可能です。

 技術基準に関する法令

4 参考情報

4.1制度改正履歴

 令和5年12月22日改正
  • IEEE 802.11be規格の導入のための制度改正を実施。
  • 6GHz帯LPI端末間通信(子局間通信)を導入。
  • 5.2GHz帯自動車内無線LANの見直しを実施。
  • 概要資料リンク先コンテンツを別ウィンドウで開きます
 令和4年9月2日改正
  • 6GHz帯(5925~6425MHz)無線LANを導入。
  • 5.2GHz帯(5150~5250MHz)自動車内無線LANを導入。
  • 概要資料リンク先コンテンツを別ウィンドウで開きます
 令和元年7月11日改正
  • IEEE 802.11ax規格の導入のための制度改正を実施。
  • 5.6GHz帯の周波数拡張(144chの導入)を実施。
  • 概要資料リンク先コンテンツを別ウィンドウで開きます

4.2公衆無線LAN

総務省では、公衆無線LANサービスを提供する事業者等の円滑な事業展開及び利用者が安心・安全なサービスを享受できる環境づくりに資することを目的として、公衆無線LANサービス提供者が事業運営を行う際に留意すべき事項や望ましい事項等を明らかにするため、ガイドラインを公表しています。
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/public_wi-fi/index.htmlリンク先コンテンツを別ウィンドウで開きます

4.3無線LANのセキュリティ

スマートフォン等の普及が進んだこともあり、無線LANは自宅や職場だけではなく、多くの施設等で利用されています。一方で、無線LANの利用に当たっては、必要なセキュリティ対策を講じなければ、通信内容が盗み見られるなどの被害が発生する場合があります。
次のページに無線LAN利用者向けのマニュアル及びアクセスポイント設置者向けの手引き等を公開しておりますのでご参照ください。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/wi-fi/リンク先コンテンツを別ウィンドウで開きます

4.4民間標準規格

無線LANは、国内において以下の民間標準規格が規定されています。

  • 2.4GHz帯:ARIB STD T-66 「第二世代小電力データ通信システム/ワイヤレスLANシステム」
  • 5GHz帯及び6GHz帯:ARIB STD T-71 「広帯域移動アクセスシステム(CSMA)」、JEITA「5GHz 帯無線LANの周波数変更」に関するガイドライン

5 用語集

用語 説明
親局(アクセスポイント) 他の無線局から制御されることなく送信を行い、一の通信系の他の無線局が使用する電波の周波数の設定その他の当該他の無線局の制御を行う無線局をいい、基地局相当となるWi-Fiルータやテザリングによるインターネット共有を行うスマートフォン等が該当します。
子局(端末) 親局に制御される端末をいい、アクセスポイントに接続する端末が該当します。
証明規則 特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則(昭和56年郵政省令第37号)
無線設備規則 無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)
DFS 5.3GHz帯及び5.6GHz帯において、気象レーダーが存在していることを検知するために、同周波数帯を使用する無線LANの親局(アクセスポイント)に搭載が義務づけられている機能。レーダーを検知した場合は自動的に停止又はチャネルを変更する機能が備わっています。
5.3GHz帯又は5.6GHz帯チャネルでの運用開始前に60秒間レーダーで使用されていないことを確認し、運用中も連続的にレーダー波が存在していないか検知することとなっています。
e.i.r.p. 等価等方輻射電力。空中線電力に空中線(アンテナ)利得を加えた値。
W52
W53
W56
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の「5GHz帯無線LAN の周波数変更」に関するガイドライン」及び一般社団法人電波産業会(ARIB)標準規格STD-T71「広帯域移動アクセスシステム(CSMA)」により規定されている表示です。
異なる周波数帯を使用する機器が市場に混在するため、これらの名称や文章、ロゴを表示し、利用者の方々に接続可能な製品を確認いただけるようにすることが推奨されています。
担当:総合通信基盤局電波部基幹・衛星移動通信課基幹通信室