人工衛星等のアマチュア局(アマチュア衛星)について
目次
- 人工衛星等のアマチュア局とは
- 人工衛星等のアマチュア局の申請手続
- アマチュア衛星運用計画書等について
- 人工衛星等のアマチュア局の申請者等について
- 申請にあたっての注意事項
- 申請様式及び関係法令
- 連絡先
人工衛星等のアマチュア局とは
アマチュア衛星※に搭載される無線局とこれを制御する地上の無線局は「人工衛星等のアマチュア局」と呼ばれており、人工衛星等のアマチュア局は、
- 人工衛星局相当アマチュア局(人工衛星に開設するアマチュア局)
- 地球局相当アマチュア局(人工衛星に開設するアマチュア局の無線設備を遠隔操作するアマチュア局)
で構成されます。
※アマチュア衛星
アマチュア業務の健全な普及発達を図ることを目的とする社団(団体)であって、アマチュア業務に興味を有する者により構成される社団(団体)によって打ち上げられる人工衛星で、アマチュア無線によりその通信及び制御等をするものです。
「人工衛星等のアマチュア局」はアマチュア局ですが、一般のアマチュア局とはその態様が大きく異なることから、一般のアマチュア局とは、その手続や制度が大きく異なります。また、一般のアマチュア局とは分けて、別に無線局を開設する必要があります。
人工衛星等のアマチュア局はアマチュア局ですので、アマチュア業務※に合致する必要があります。
※アマチュア業務:
金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究を行う無線通信業務をいう。(参照:電波法施行規則第3条第1項第15号)
※アマチュア局:
アマチュア業務を行う無線局をいう。(参照:電波法施行規則第4条第1項第24号)
人工衛星等のアマチュア局の申請手続
人工衛星等のアマチュア局の申請手続のフロー
【注意】人工衛星等のアマチュア局の申請について
- 一般のアマチュア局とは、その手続や制度が大きく異なります。免許までの、国際及び国内の各調整、審査、検査等には、相当のお時間がかかります。
- 現在、多くのご相談や申請をいただいております。思わぬトラブルで間に合わないことがないよう、スケジュールには十分に余裕をもって、早めにご相談をお願いします。
- お問い合わせの前に、知りたいことがこの電波利用ホームページに掲載されていないかをご確認ください。また、できるだけ短時間かつ効率的にご相談が終わるよう、内容をまとめてからご連絡ください。ご協力をお願いします。
申請の準備
- IARU調整(国際アマチュア無線連合(IARU))
全世界で既に打ち上げられているアマチュア衛星との混信を避けるため、国際アマチュア無線連合(IARU)の周波数調整と割当てを受ける必要があります。IARUへ周波数割当の申請を行う際には、事前に一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)※で割当申請書類等について確認を受ける必要があります。
※一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)は、国際アマチュア無線連合(IARU)に加盟する日本の代表機関であり、その窓口となっております。
詳細は、一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)の下記窓口にお問い合わせください。
一般社団法人 日本アマチュア無線連盟
- 住所:
〒170-8073 東京都豊島区南大塚 3 丁目 43 番 1 号 大塚 HT ビル 6 階
- 電話:
03-3988-8741
- e-mail:
lab_atmark_jarl.org
※スパムメール対策のため、@を「_atmark_」と表示しています。
メールをお送りになる際には、「_atmark_」を@に直してください。 - 住所:
- 国内干渉調整(総合通信基盤局電波部移動通信課)
IARU調整完了後、国内干渉調整を行いますので、下記書類を移動通信課へご提出ください。
- 社団の定款、理事・構成員名簿
- IARUの承諾書(IARU調整結果)
- アマチュア衛星運用計画書
- 回線設計書
- 国際調整値との比較表(「(3)国際周波数調整」と並行して作成してください。)
- 国際周波数調整(総合通信基盤局電波部電波政策課国際周波数政策室)
国際電気通信連合(ITU)へ事前公表資料(API)※を提出し、国際周波数調整を行います。
国際周波数調整については、移動通信課の「(2)国内干渉調整」と並行して、国際周波数政策室で行います。※事前公表資料(API)
衛星通信網の諸元(周波数・軌道位置・アンテナ利得等)をまとめた資料で、ITUの定めたフォーマットに沿ってまとめられたもの。周波数を取得するため、最初にITUに対して各国の主管庁から提出される資料。国際周波数調整の詳細については、下記ページをご参照ください。
国際周波数調整について:周波数の国際調整について
マニュアル「1.小型衛星通信網の国際周波数調整手続きに関するマニュアル」を参照。
- 免許申請(総合通信局等)
必要書類を準備し、各地の総合通信局等へ免許申請してください。
■申請書類提出先
申請先 人工衛星局相当アマチュア局 申請者又は免許人の所在地を管轄する総合通信局等 地球局相当アマチュア局 送信所(通信所又は演奏所がある時は、その通信所又は演奏所)の所在地を管轄する総合通信局等 ■ 必要書類
- 無線局免許申請書
- 無線局事項書
- 工事設計書
- 添付資料
- 社団の定款、理事・構成員名簿
- IARUの承諾書(IARU調整結果)
- アマチュア衛星運用計画書
- 回線設計書
- 国際調整値との比較表
等
アマチュア衛星運用計画書等について
- アマチュア衛星運用計画書等は、下記内容に適合することが分かるように作成してください。
- 無線局の目的、通信事項、無線局の開設を必要とする理由及び通信内容等
- これらのすべてが、アマチュア業務(電波法施行規則第3条第1項第15号)に合致すること。なお、アマチュア業務に合致するかは、反復・継続性、営利性、組織的利用、通信内容等について総合的に判断します。アマチュア無線は、仕事(企業等の営利法人等の営利活動)には、使用できません。
- アマチュア局の運用により、アマチュア無線に対する理解の増進、アマチュア無線の健全な普及、発展に寄与するものであること。
- 他のアマチュア局の免許人が人工衛星に開設するアマチュア局と円滑に通信できるように、アマチュア無線関係団体等への情報提供、インターネットの利用その他の手段による周知広報等について、具体的な手法が確認できるものであること。
- 複合ミッションで人工衛星にアマチュア無線以外の通信システムを搭載する場合、アマチュア無線による通信システムと他の通信システムが独立しており、無線通信業務間の接続が行われていないこと。他の無線通信業務との組み合わせ運用は認められておりません。
- 電波の型式、周波数及び空中線電力
- 周波数については、アマチュア衛星業務に分配された周波数のうち、次の法令に適合する、衛星通信が可能なものであること(関係法令をご確認ください)。
- アマチュア局が動作することを許される周波数帯を定める件(平成21年総務省告示第126号)
- アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別を定める件(令和5年総務省告示第80号)
※令和5年9月24日までは、「アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別を定める件(平成21年総務省告示第179号)」をご参照ください。
- その上で、電波の型式、周波数及び空中線電力は、国際アマチュア無線連合(IARU)及び国際電気通信連合(ITU)との国際調整の範囲内であること。
- 周波数については、アマチュア衛星業務に分配された周波数のうち、次の法令に適合する、衛星通信が可能なものであること(関係法令をご確認ください)。
- 設置場所等
- 地球局相当アマチュア局は、移動しない局であること。ただし、運用上やむを得ない事情があり特にその必要が認められる場合であって、人工衛星局相当アマチュア局の制御等に支障がないことが確認でき、かつ、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り、認められております(原則としては、認められておりません。)。
- 無線設備
人工衛星等のアマチュア局の無線設備は、以下の機能を具備しなければなりません。
- 電波の発射の停止が確認できるものであること。
- 免許人以外の者が無線設備をみだりに取り扱うことのないよう措置しているものであること。
- 人工衛星のコマンド制御ができなくなった場合に、人工衛星に開設するアマチュア局の無線設備を停止する手段を搭載していること。
- 電波が停波できなくなった場合及び電波の発射の停止を求められた場合、速やかに電波の発射を停止できる機能を有すること。
- 人工衛星の制御回線を除き、通信に秘匿性を与える機能を有してはならず、通信内容は、他のアマチュア局が聴取できるものであること。
- 運用体制等
- 運用中は、免許人が常時、無線設備を監視及び制御をしているものであり、その具体的措置が確認できるものであること。
- 電波が停波できなくなった場合及び電波の発射の停止を求められた場合、速やかに電波の発射を停止できる体制を有すること(連絡先を明記してください。)。
運用計画書等の書類により、上記のすべての事項について確認ができるようにしてください。
- 無線局の目的、通信事項、無線局の開設を必要とする理由及び通信内容等
人工衛星等のアマチュア局の申請者等について
申請者等について
人工衛星等のアマチュア局の申請者、免許人は、社団※である必要があります。当該社団が開設するアマチュア局を「社団局」と言います。
人工衛星等のアマチュア局を開設・運用するためには、しっかりとした管理・運用体制を適切かつ継続的に確保する必要があります。
※社団(無線局(基幹放送局を除く。)開設の根本的基準第6条の2第1号(3))
アマチュア業務の健全な普及発達を図ることを目的とする社団(団体)であって、かつ、アマチュア業務に興味を有する者により構成される社団(団体)。全ての構成員が、アマチュア無線従事者資格を有する必要があります(詳細は「2.アマチュア無線従事者資格」をご参照ください。)。代表者は、個人としてアマチュア局の免許を受けることができる者であり、かつ、その社団の管理運営について統率力を有すると認められる者である必要があります。また、申請に当たり、社団の定款及び理事・構成員名簿が必要です。
(注)
アマチュア局の免許は、個人又は社団(アマチュア無線従事者により構成。根本基準第6条の2第1号(3))でなければ受けることができません。
(大学、大学研究室、学校、NPO法人、地方公共団体、公益社団法人、一般社団法人、組合、上記の社団以外の任意の組織等それ自体は、免許人となることはできません。)
アマチュア無線従事者資格について
アマチュア局を開設・運用するには、アマチュア無線従事者資格が必要となります。
モールス符号を使用する人工衛星局相当アマチュア局及び空中線電力50Wの地球局相当アマチュア局の運用には、第三級アマチュア無線技士以上の無線従事者資格が必要となります。
資格 | 操作範囲 |
---|---|
第一級アマチュア無線技士 | アマチュア無線局の無線設備の操作 |
第二級アマチュア無線技士 | アマチュア無線局の空中線電力200W以下の無線設備の操作 |
第三級アマチュア無線技士 | アマチュア無線局の空中線電力50W以下の無線設備で18MHz以上又は8MHz以下の周波数の電波を使用する者の操作 |
第四級アマチュア無線技士 | アマチュア無線局の無線設備で次に掲げるものの操作(モールス符号による通信操作を除く。)
|
※次の表の左欄に掲げる資格の無線従事者は、右欄に掲げる操作を行うことができます。
資格 | 操作 |
---|---|
第一級総合無線通信士 | 第一級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作 |
第二級総合無線通信士 | |
第三級総合無線通信士 | 第二級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作 |
第一級海上無線通信士 | 第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作 |
第二級海上無線通信士 | |
第四級海上無線通信士 | |
航空無線通信士 | |
第一級陸上無線技術士 | |
第二級陸上無線技術士 |
申請にあたっての注意事項
- 開設の目的について
- 人工衛星局等のアマチュア局は、目的がアマチュア業務を行うものである必要があります。
アマチュア業務:
金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究を行う無線通信業務をいう。(参照:電波法施行規則第3条第1項第15号)アマチュア局:
アマチュア業務を行う無線局をいう。(参照:電波法施行規則第4条第1項第24号) - 複合ミッションで人工衛星にアマチュア無線以外の通信システムを搭載する場合、アマチュア無線による通信システムと他の通信システムは必ず独立し、無線通信業務間の接続は行わないようご注意ください。他の無線通信業務との組み合わせ運用は認められておりません。
- 人工衛星局等のアマチュア局は、目的がアマチュア業務を行うものである必要があります。
- 審査期間について
- 人工衛星等のアマチュア局は、一般のアマチュア局とは、その手続や制度が大きく異なります。免許までの、国際及び国内の各調整、審査、検査等には、相当のお時間がかかります。
- 現在、多くのご相談や申請をいただいております。思わぬトラブルで間に合わないことがないよう、スケジュールには十分に余裕をもって、早めにご相談をお願いします。
- 周波数諸元等の申請値について
- 占有周波数帯幅、空中線電力等の国内申請値は、人工衛星局相当アマチュア局と地球局相当アマチュア局との通信を確保するための必要最低限のものとしてください。「使用する機器の性能から」という理由は、認められません。
- 占有周波数帯幅は、無線設備規則別表第2号第4を参照し、算出してください。
- 空中線電力は、回線設計により算出してください。
- 申請値について、 IARU調整及び国際周波数調整についてはある程度余裕をもって調整いただいて支障ございませんが、必ず【IARUの承認値 ≧ APIの値 ≧ 国内免許申請値】となるようご留意ください。
- 検査について
予備免許後、落成検査を行います(電波法第10条 落成後の検査)。
(注)- 無線設備のパッキング等は、必ず、落成検査終了後に行ってください。無線設備をパッキング等してしまうと、落成検査ができません。
- 人工衛星等のアマチュア局は、全て検査(国又は登録検査等事業者による検査等)を行う必要があります。スケジュールに十分に余裕をもって、早めに相談するようにしてください。
(技術基準適合証明等、アマチュア局の保証による検査等の省略はできません。) - 国の検査を受ける場合は、予備免許又は変更許可後、検査当日までに検査項目に係る点検記録等データを取得し、事前に総合通信局等へ提出する必要があります。
- 変更申請及び変更の届出について
- 無線局事項書や工事設計書等の内容を変更しようとする場合及び無線設備を変更しようとする場合は、あらかじめ変更申請を行い、許可を得る必要があります。
- 社団の定款や理事・構成員名簿を変更しようとするときは、あらかじめ変更の届出が必要となります。
- 再免許申請について
- 人工衛星等のアマチュア局の再免許の申請期間は、免許の有効期間満了前3か月以上6か月を超えない期間です。
- 再免許申請時にも、開設時と同様に審査等にお時間が必要な場合があります。スケジュールに十分に余裕をもって、早めに相談するようにしてください。
申請様式及び関係法令
申請様式
申請書様式は、次のページからダウンロードできます。
使用する様式は、それぞれ下記のとおりです。
一般のアマチュア局の様式とは異なるため、ご注意ください。
人工衛星局相当アマチュア局 | 地球局相当アマチュア局 | |
---|---|---|
免許申請書 | 「1.無線局免許申請書及び再免許申請書、変更申請(届出)書等」の「1 無線局の免許(再免許)申請書」の「別表第一号」 | |
無線局事項書 及び 工事設計書 |
「2.無線局事項書及び工事設計書」の「10 衛星基幹放送局、衛星基幹放送試験局、人工衛星局及び宇宙局」 |
「2.無線局事項書及び工事設計書」の「5 海岸地球局、航空地球局、携帯基地地球局、携帯移動地球局及び地球局」 |
関係法令
(参考)
別に、宇宙活動法※に基づく「人工衛星等の打上げに係る許可(内閣府・宇宙開発戦略推進事務局)」等の手続も必要となりますので、関係者と調整して十分に余裕を持った計画を立てていただき、お早めにご相談ください。
※人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(平成28年法律第76号)
連絡先
人工衛星等のアマチュア局の免許申請手続等に関する相談窓口は、下記のとおりです。
- 場所:
総務省 総合通信基盤局電波部 移動通信課
- 電話:
03-5253-5895
- E-mail:
at_satellite_atmark_soumu.go.jp
※スパムメール対策のため、@を「_atmark_」と表示しています。
メールをお送りになる際には、「_atmark_」を@に直してください。